私はランドスケープの設計事務所に設計者として勤めています。建築や土木など、ランドスケープと隣接する領域のプロと仕事をしていたので、「ランドスケープとは何か」ということを言語化し、確認する必要にせまられる機会が多くありました。今回は、そのような経験を通じて、ランドスケープ的な世界とはどういうことかを考え続けてきた経過報告をしたいと思います。 ランドスケープ的思考 ランドスケープの対象は、まず外部であるという特徴があります。それに伴い、植物を対象として扱う機会が非常に多くなります。そのため、対象よりもさらにそれを取り囲む、より広域な事情を視野に入れるという習慣があります。例えば、木を1本植えるといっても、木は単体で生育しているわけではないので、木を支える周囲の環境が前提になっています。 一方で、植物が最も端的に具現しているのは時間です。大きい木が植わっているということは、少なくともその場所で、