6月15日の衆院本会議で、枝野幸男立憲民主党代表が内閣不信任決議案の趣旨説明を行った。否決前提の演説は、実のところ、野党側の所信表明のような役割を果たす。演説を聞いて驚いたのは、幾多の政権構想中の1項目ではあったが、日本学術会議問題で菅義偉首相が任命を拒否した6人を任命し直すと述べた部分である。 早速、昔の友人から連絡が来た。「14万筆超の署名も1000を超える学会声明も、結局何も変えられなかったね。まだこの問題やっていたんだ」。よほど(任命を拒否された一人である)私は打たれ強く見えるのだろう。平気でこう書いてくる。ただ、世の多数派の見方を教えてくれるのは助かる。今回は、昨年10月から現在までの学術会議問題の政治過程をまとめ、友人への答えとしたい。 「行動したのに何も変わらなかった」との嘆きは昔も今もある。だが多くの場合、「何も」の部分の考察不足が問題だ。運動と帰結の因果関係は意外にわかり