法律家は、定義及びその趣旨から、ある概念の射程範囲を考えていきます。どこまでを「誘導尋問」とするのかについても同様です。 刑事訴訟規則は原則として主尋問において「誘導尋問」を行うことを禁止しています。主尋問の場合、尋問者と回答者との間は好意的である場合が通常なので、尋問者が欲する回答を暗示すると、暗示された尋問者の希望に添った回答を回答者がしてしまい、回答内容と回答者の記憶との間に齟齬が生ずる虞が高まります。 また、「Yes/No Question」においては、尋問者が認識している事実等を質問文の中に含めることになりがちです。そして、それが主尋問において行われるときは、回答者は、尋問者が質問文の中で提示する事実は正しい(あるいは自分たちにとって好ましい)ものだと認識しがちです(質問時の声の発し方によっては、その真逆の暗示をすることも可能です。)。すると、回答者は、回答者が認識していなかった