牧場で草を食む牛、トラックに載せられセリに掛けられる。食肉業者は電話で顧客からの注文に答える。その間に牛は無数に区画された広大な牧場で、トラックで運ばれる飼料を食べてどんどん太らされていく。そして十分に太れば屠殺場に連れて行かれ、食肉に加工されていくのだ。 ワイズマンは今回、牛と羊を扱うコロラド州にある食肉業者を対象として選んだ。そこで牛が食肉としてわれわれの元に運ばれまでを記録するとともにそこに勤める人々によって行われる業務も描く。 牛は牧場で生まれ、ある程度まで育てられ、トラックでセリの会場に運ばれる。そして食肉業者に買われ、今度は食肉業者の牧場で太らされる。そのそれぞれの過程で鞭で追い立てられながら、あっちへ行き、こっちへ行きする。が、牛のほのぼのとした風貌のせいか、そこに悲壮感は感じられない。もちろん牛たちは自分たちが殺される運命にあることなど知る由もないから、悲壮感が漂うわけもな