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ブックマーク / manba.co.jp (7)

  • 鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信

    鳥山明は、縦の間白(コマとコマの間)より横の間白を広くとり読みやすくする工夫など、先鋭的な作品ではむしろダサく見えてしまう表現上の更新もしている。が、それが典型的に示すように、新しい革新的な表現に注目しがちな批評言説からは注目されにくい作風である。けれど、彼は間違いなくジャンプ最盛期の牽引役で、その後のジャンプ路線のシンボルだった。のちにジャンプを支える『NARUTO』の岸斉史、『ワンピース』の尾田栄一郎ら、多くのジャンプ作家に影響を与えた。いわば読者を育て、そこから作家を生み出したのである。いいかえると、彼はジャンプの基準、範例のようにも見なされ、結果「明朝体」のように感じられるようになったのかもしれない。 鳥山明はとてつもない作業量をこなし、しかも締め切りを守った。その理由が、会社員を経験したので、〈原稿が遅れるといろんな人に迷惑がかかる〉*1と思ったからだという。ただ、絵を描くのが

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  • 藤子・F・不二雄「四畳半SL旅行」の背景あれやこれや | マンバ通信

    『藤子・F・不二雄大全集 少年SF短編 2巻』 このたび、小学館から『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』が刊行されはじめましたね。おらが地元の川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムでは「藤子・F・不二雄のSF短編原画展 -Sukoshi Fushigiへの招待-」を開催中ですし、NHK BSプレミアムで「定年退」「流血鬼」など10作品の実写ドラマも放映(や、この原稿書いてるうちはまだ放映されてないんですが)。で、4月25日発売の『SFマガジン』2023年6月号も、これらに合わせて「藤子・F・不二雄のSF短編」特集です。プロフィール文にも書いていますが、当方はたまに(2〜3年に1回くらい)『SFマガジン』に原稿を書くことがある身でして(一応SF界隈の人間なんすよ)、この特集における作品総解説でも2書いています。今回はそのうちの一「四畳半SL旅行」(書いたもう一は「休日のガ

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  • 初代JOJO担当編集 椛島良介インタビュー #1【週刊少年ジャンプ編】『リンかけ』に学び、諸星大二郎作品に救われた | マンバ通信

    初代JOJO担当編集 椛島良介インタビュー #1【週刊少年ジャンプ編】『リンかけ』に学び、諸星大二郎作品に救われた 「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)のいわゆる「黄金期」と呼ばれる時代の一翼を担った名編集者であり、今年2023年に連載開始100周年を迎えたマンガ『正チャンの冒険』※1の作者・樺島勝一氏の孫にあたる椛島良介氏。今回、椛島氏の生い立ちから当時のジャンプ編集部の様子、また『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦さんとの思い出や、おすすめのマンガまでさまざまなお話をうかがってきました。「週刊少年ジャンプ編」・「荒木飛呂彦編」・「おすすめマンガ編」の全3回に分けてお届けします。 ※1^ 1923年1月25日の「アサヒグラフ」創刊号から連載された4コママンガ。日初のフキダシ型マンガともいわれる(諸説あり)。主人公の「正チャン」と相棒のリスによる冒険の物語が幻想的に描かれ、

  • 出版物はどんな自由に作ってもいいんだ(よくない)—コレクター泣かせな地獄からの使者・オハヨー出版のデタラメ単行本たち(志村裕次・原麻紀夫+鳴

    出版物はどんな自由に作ってもいいんだ(よくない)—コレクター泣かせな地獄からの使者・オハヨー出版のデタラメ単行たち(志村裕次・原麻紀夫+鳴島生『雀鬼地獄の対決!』他) 『フランケンシュタインの男』および日野日出志作品の記事で、ひばり書房という会社は「同じを表紙とタイトル変えて別のに見せかけて販売をしたりしていた」「奥付の日付が適当で初版がいつかよく分からない」という旨を書きました。ただこれ、80年代以前の漫画出版界、中でもメジャーじゃない所ではそこまで珍しいものではなく、例えば80年代竹書房の近代麻雀コミックスなんかはこうです。 能條純一『哭きの竜』(竹書房)より 初版の日付も書けや!(「Printed in Japan 1986」とあるのと連載開始時期を考えると1986年の前半だと思うんですけど) 初版ならこれでもいいんですけど、ヘタにヒットした作品、例えば『フリテンくん』の1巻

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    neko2bo
    neko2bo 2023/02/15
    いやぁ。めちゃくちゃ面白いエントリですね。昭和の記録の一側面として案外貴重なジャンルかも。
  • 『ゴリラーマン』解題〜いかに『ゴリラーマン』は斬新なマンガであったか〜 | マンバ通信

    『ゴリラーマン』の時代 ヤンマガで『ゴリラーマン40』の連載が始まっている。それで久しぶりに『ゴリラーマン』を読み直してみたら、やはり面白かった……と思いつつ、あの時代の感覚を共有していないと、今の読者には伝わりづらいかもな、と思うところもあったので、『ゴリラーマン』を成立させていた時代背景みたいなものを書いてみたい。 『ゴリラーマン』は、とにかく絶妙なさじ加減のマンガだった。 ヤンキーマンガであるけど、ケンカがメインというよりは「かったるい学校生活を過ごす高校生」という感じのマンガで、青春マンガの要素もあるんだけど、「燃えさかる青春」ということでもなく、どことなくドライなところがあった。なおかつ、妙にオタクっぽいところもある。間口が狭いんだか広いんだか、よくわからないけど面白いという、他にないタイプのマンガだった。 (以下、カッコ書きしてあるのが作品としての『ゴリラーマン』、カッコ書きが

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  • 「オレたち何を見せられてるんだ!?」が氷解する頃には、きっと『古代戦士ハニワット』にハマっているに違いなく… | マンバ通信

    「オレたち何を見せられてるんだ!?」が氷解する頃には、きっと『古代戦士ハニワット』にハマっているに違いなく… 先日、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』監督の庵野秀明が『プロフェッショナル仕事の流儀』でこう言っていた。 「謎に包まれたものを喜ぶ人が少なくなってきている」 「謎に包まれた作品=面白い」とは限らないとしても、早い段階で「これは確実に面白さのある作品ですよ」とわかりやすく提示されないと、ついていくことをあきらめる人が増えている……というのは体感的にも納得できる。 その流れでいうと、『古代戦士ハニワット』は時代に逆行したマンガなのかもしれない。なにせ第1話を読んだ時点では「でっかいクエスチョンマーク」が浮かぶだけなのだから。 このタイトルと表紙を見た人はまず、「埴輪をモチーフにしたヒーロー物なんだな」と予想するだろう。その予想は間違いではない。しかし。 『ハニワット』は、土偶のような物

    「オレたち何を見せられてるんだ!?」が氷解する頃には、きっと『古代戦士ハニワット』にハマっているに違いなく… | マンバ通信
    neko2bo
    neko2bo 2021/04/17
    確かにいきなり変な地点に引っ張って行ってくれる強引な魅力を感じますね。読んでみたくなる良い記事だなあ。
  • 子供向けなのに死のイメージがつきまとう「モジャ公」は藤子F屈指の傑作! | マンバ通信

    藤子・F・不二雄の代表作といえば? と聞かれたら、みなさん何と答えますかね。たぶん一番多いのは「ドラえもん」なんだろうけど、それだとあまりにも当たり前すぎるので、「キテレツ大百科」や「エスパー魔美」を挙げる人もいると思います。で、そのへんの作品に続けて、SF短編を挙げてくる人もおそらくそれなりにいるんじゃないでしょうか。 挙げてくる短編作品が「ノスタル爺」だったり「ヒョンヒョロ」だったり「カンビュセスの籤(くじ)」だったり、多少の違いは出てくるだろうけど、「SF短編も代表作の一つ」という藤子F観に異論のある人はまずいないでしょう。現代の藤子F観はそういうところまで来ている。 そこに「モジャ公」も加えてほしい。 と思ってこの原稿を書いています。もともと読んだ人からの評価は高くて、「隠れた名作」のような扱いになっているのですが、もっともっといろんな人に読んでもらって、「隠れてない名作」「堂々た

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