西川善文・日本郵政社長を巡る人事騒動には、あまりに多くの政治家、官僚、財界人が、それぞれの利害を持って関わったために、メデイアにおけるさまざまな分析、解説は、それぞれ事の一側面を照らし出すにとどまらざるをえない。むろん、このコラムもその限界を超えるものではないけれど、ある人物を中心に、知られざる事実を含めて、経緯を改めて整理してみたい。浮かび上がる構図は、これまで伝えられてきたものとずいぶん違う。 ある人物とは、麻生総理である。総理周辺、さまざまな関係者の話を総合すれば、麻生総理は、西川社長を経営者としては当初から評価していなかった。麻生総理は内々の会合で、「西川社長に任せていては、郵貯会社を上場させることはできない」と口にしている。 人は分野を問わず、輝かしい業績や成果を上げれば上げるほど、その影絵は大きく明瞭になってついてまわる。ポジとネガのいずれを重視するかで、人の評価は変わる。