千葉県いすみ市の公立病院「いすみ医療センター」で、新型コロナウイルスの治療薬に承認されていない抗ウイルス剤「アビガン」が今夏、不適切に自宅療養者に処方されていた。医療センターでアドバイザーを務めた医師からの説明で、患者は言われるままに薬剤を受け取った。周囲の医療関係者の評価が割れるなか、厚生労働省が問題視しており、千葉県も事実関係を調べる。 発熱でもうろう、同意書サイン 読売新聞の取材に応じた県南部在住の女性は8月下旬、37度以上の発熱と悪寒に襲われ、いすみ市内の病院で抗原検査を受け、陽性判定された。病院から教えられた医師の携帯電話に電話をかけると、いすみ医療センター近くの市有施設を訪ねるよう指示された。 家族が運転する車で施設を訪ね、医療センターで肺の診察を受けた後、指示に従って女性は車内に戻った。すると、防護服姿の医師が、窓越しにアビガンの効果と副作用を説明するとともに、こう声をかけた