通り沿いの雑多な居酒屋で、夜風に吹かれながら飲むハイボールは最高だ。 「きみがいつまでも若くて安心した」 ジョッキに入った氷を鳴らしながら、友人は言う。同い年の彼とは23歳の時に森美術館で出逢った。意気投合して小松(およそ六本木にあるとは思えない大衆的な居酒屋)で飲んだのを覚えている。 当時、彼はM1、私は社会人1年生だった。理系と文系、業界も立場も違う。それでも、お互いに好きなものは手に取るようにわかる稀有な存在だった。同じものを見ていても、違うように捉える。この差異が好きだった。単純に馬が合ったので、何をするわけでもなく、新宿やら渋谷で飲んでいた。安い言葉だが、同志のような関係だったと思う。 あの映画がいい、あの建物は美しい、この音楽は最高だ、あの人の新作は好きじゃない…まぁそんなところだ。 しかし、彼が就職したタイミングでぷつりと会わなくなった。私も仕事が変わり忙しかった。恋人なら違