「決定打は子どもに言われた『もう阿蘇に行かないで』のひとこと。子どもを見るのは私しかいないから」 こう話すのは、看護師の山脇理恵さん(仮名)35歳。おととしの熊本地震のあと、勤めていた阿蘇市の病院を辞めました。 当時、山脇さんは保育園に通う5歳と小学2年生の2人の娘の子育てをしながら、仕事に励む「働くお母さん」でした。 結婚後にこの病院で働き始め、やりがいを感じていました。 山脇さんが働いていたのは阿蘇地域で中核的な役割を担う病院。救急医療や透析、それに介護の専門施設、さらにはがん患者向けの病棟などがあり、看護師としてさまざまなキャリアを積めることも大きな魅力でした。 「いろんな病気の患者さんが来るので、看護師として学べることが多くこのまま働き続けたいと思っていました」 しかし、その山脇さんの思いは打ち砕かれます。 山脇さんの自宅から職場までは、通常、30分余り。それが熊本地震で一変しまし