※全文ネタバレ ■はじめに ストーリーを大雑把にまとめてしまうと、物語における事件の「被害者(「ヒーロー」)」が「社会構造の加害者」、「加害者(「悪役」)」が「社会構造の被害者」という構図。前者を人間であるムゲン、後者を妖精であるフーシーが象徴し、立場をいえばフーシーと同じ妖精の子ども、シャオヘイがその間を揺れ動くというもの。 それぞれの登場人物の「揺らぎ」、マイノリティとはなにに追い詰められ、引き裂かれた者たちかという描写が素晴らしかった。登場人物の言動、所作から垣間見られる「揺らぎ」が終盤で一気に「種明かし」に繋がる。 ■フーシー フーシー、かつて妖精が住んでいた龍游の土地を取り戻すために同類から能力を奪いながら、その手段の「悪」を自覚しているし、なにより本人がそれに苦しんでいるという矛盾したキャラクター。シャオヘイから奪った力で目的を目指すも、その望みが絶えたときに口にするのが「ここ