これから数値解の安定性というものを考える。もとの解が定常解を持てば、数 値解の安定性というのは要するにその定常解がやはり安定である、つまりそこ から少し離れたところから出発すると、必ずその定常解にいくということである。 極限周期軌道を持つ場合にも安定性の概念を拡張することができるし、またも との解が定常でも周期的でもない場合でも、数値解がその解からどの程度離れ ていくかという意味の安定性を考えることはできなくはない。これについては あまり詳しくはここでは扱わない。かなり難しいのと、とりあえず定常解のこ とが良く分かってないとそういった話をしてもあまり役にたたないからである。 とりあえず、もとの方程式が線形で安定な定常解を持つ場合に、数値解の安定 性とはどういうことかを考えていこう。 2.1 陽的オイラー法の安定性 一変数線形常微分方程式 を、前進(陽的)オイラー法 で積分する場合を考えてみ