私がパサージュを研究対象とするきっかけとなったのは、エッフェル塔と出会ったことにある。ロベール・ドローネの《Les Fenêtres》をはじめ、絵画・文学・映画等、様々な作品においてエッフェル塔はパリの象徴として機能してきた。しかし、そもそも鉄でできた建築物に美的要素を見出すこと自体が近代以降の美意識によるものなのだ。ちょうどその美意識の転換期に鉄道駅、中央市場とともにパサージュは登場した。ヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』はパサージュ全盛期を舞台に書かれた。この著書に初めて目を通した時の衝撃は今でも忘れられない。ヴァルター・ベンヤミンとは、20世紀ドイツの批評家・思想家・哲学者で、アドルノやショーレム、ブレヒトらと親交を結び、歴史的唯物論とユダヤ的神秘主義を結びつけた思想を展開した人物だ。主な著書には『パサージュ論』をはじめ、『ドイツ悲劇の根源』『一方通交路』『複製技術時代の芸術作
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く