ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか開催された「Global Fact 9」。世界のファクトチェック団体をネットワークするIFCNが開催する年次カンファレンスだ。世界でファクトチェック団体やその活動が広がる一方、ウクライナ侵攻をはじめ、権威主義的国家の下で、あるいは社会的分断が深まる民主主義国家において、「偽情報」の脅威がますます高まる。カンファレンスに出席し、自らもファクトチェック活動に取り組む古田大輔氏が、ファクトチェックをめぐる最新課題を論じる。(編集部) 情報汚染はなぜ止まらないのか 2016年のアメリカ大統領選から、20年の新型コロナウイルス、さらには21年の米連邦議事堂襲撃、そして、22年のロシアのウクライナ侵略…...。誤情報や偽情報は世界に拡散し、状況は悪化の一途のように見えます。 何も対策がとられなかったわけではありません。この6年、各国で情報を検証するメディアや非営利組