「子どもの死」「難病」「障害」を安易に取り上げ、情緒で押し流す道徳教科書が多すぎる 結論を押しつける授業自体が暴力となりかねないことを自覚しよう 西郷南海子 教育学者 「教育再生実行会議」の提言で「特別の教科」に 道徳が教科化されたことは記憶に新しい。小学校では2018年度、中学校では2019年度から「特別の教科」として位置づけられた。道徳の教科化は、第二次安倍内閣が主導した「教育再生実行会議」の提言を受けたものであり、愛国心との関わりなどが問題視されてきた。教科化に対しては、「心に成績をつけるのか」などの批判も根強い。 さて、実際の教科書はどのようなものになっているのだろうか。教科化されたことだけでなく、今日の多忙な教育現場の事情をふまえると、教科書に沿って授業を行うのが多数であると考えられる。したがって、国語の授業で「おおきなかぶ」や「モチモチの木」を読んだことが、かつて子どもだった人