事件記者時代、懇意にしてくれた捜査員が何人かいた。 そのうちのひとりが実に思い出深い。 よく一緒に飲みに行ったが、その方法も独特だった。 警察官や刑事なんて、みんな似たような公務員気質なんじゃないか?と思う方もおられるかもしれないが、そんなことはない。 あんなに人間臭さに溢れた役所も珍しいかもしれないと、いま思う。 事件記者にとって最も価値があるのは「紙」 事件記者に必要なスキルは、公表前、あるいは公表するものではなく捜査員だけが知る情報を、どの記者よりも早く正確に手に入れてくることである。 そう教わったし、そう思っていた。 情報は「夜討ち朝駆け」の立ち話で手に入れることもあるし、 懇意にしている捜査員から直接電話を受けて手に入れるということもある。 しかし、一番ありがたいのは「紙」の形で受け取ることである。 何の「紙」かというと、 発表「予定」の広報文書。「いつ発表するか」が事前に決まっ