世界の投資家と上場企業が集まる「ユニバーサル取引所」構想を打ち出し、平成22年度中の株式上場をもくろむ東京証券取引所。しかし、ジェイコム株誤発注をめぐる訴訟の敗訴で早期上場は困難な見通しだ。東証は約107億円の賠償を命じた12月の東京地裁判決に従い、みずほ証券への賠償支払いを決めたものの、みずほ証券が控訴して訴訟は長期化の気配だ。加えて株式市場の低迷で証券会社から徴収する手数料も減少し、21年3月期には赤字を計上するなど逆風が続く。東証は目標を実現できるのか−。(大泉晋之助)ジェイコム男 17年12月8日。東証が取引を開始してすぐに“事件”は起こった。 午前9時28分ごろ、みずほ証券の担当者がジェイコム株の売り注文を入力した。だが、その内容は現実離れした内容だった。本来なら「61万円で1株売り」とすべきだったところを「1円で61万株売り」と誤って入力したのだ。61万株はジェイコムの発行済み