明治4(1871)年7月14日の「廃藩置県」から今年で150年。明治政府の行政改革によって全国300弱の藩が廃止され、旧藩主は東京に居住することとなった。藩主と城はもう関係ない? いや、ある。令和となった現代、かつての国元とつながりがある藩主の子孫が岐阜県内にいると聞き、ある城を訪ねた。 「郡上八幡城へようこそ」。窓口で来場者を出迎える青山幸紀さん(31)は、幕末の最後の郡上藩主青山幸宜(ゆきよし)のひ孫。2013年から郡上八幡城を管理する郡上八幡産業振興公社(郡上市八幡町)で働いている。主な担当業務は入場券や城の御朱印である「御城印」を発行する窓口対応。さらには石垣の草取りのほか、年末には"殿"自らが命綱を着けて天守閣のすす払いなども行う。 生まれも育ちも東京都中野区。兄の幸喜さん(43)は青山家の第14代当主だ。「物心ついた頃から自分が郡上藩主の血筋だということを聞き、心に残っていた」