タグ

ブックマーク / proftanuki.jugem.cc (12)

  • 死刑廃止と公訴時効廃止 | 天才たぬき教授の生活

    長い間、ブログを書いておらず、すっかりご無沙汰しておりました。この間に、書きたいことはいろいろとあったのですが、何から書いてよいのやら、決断ができず、あっという間にことしも5月です。そこで、どうしても書きたいことを二つだけ、書いてみます。 ひとつは、中山先生のブログにあった「佐伯先生の死刑廃止論」を見て思ったこと。死刑廃止には――もちろん、日人のすべてではありませんよ――何か拒絶反応が出てくるということ。ネットで死刑廃止論を書くと、感情的な反発やらブログ荒らしやら、何かそういった反応があるようです。不思議なことです。そういう反応をすること自体が、日の刑事政策にとってマイナスの効果をもちうることは、すでに団藤博士が、死刑廃止国から重大犯罪の犯人引き渡しを拒否された例があることを指摘していることから明らかなのに。死刑廃止論に対する反発は、当に日に住む人々のためになるのかを、冷静に考える

    死刑廃止と公訴時効廃止 | 天才たぬき教授の生活
  • 臓器移植法改正A案 | 天才たぬき教授の生活

    JUGEMテーマ:学問・学校 臓器移植法改正のA案が衆議院で可決されたというニュースが入ってきました。4案あったなかで最初に採決に付され、それで過半数の賛成を得たそうです。ちょっと意外でした。 このA案は、現在の臓器提供可能年齢「15歳以上」という制限を撤廃し、かつ、家族・近親者による承諾で臓器の提供を可能とするものです。もちろん、脳死状態でも可能とするものです。 その問題点は、①幼児の脳死判定基準が確立していない中で、幼児の脳死判定に基づく臓器提供に道を開くものであること、②15歳未満という思慮分別の十分でない人物からの、脳死状態を含む状態からの臓器提供を可能とすること、しかも、③その承諾は、近親者のものでも可能とすること、などにあります。そのため、①幼児の脳死判定はまだ不確実であること、②人が脳死を十分に理解しないまま承諾する危険があること、③とりわけ、アメリカなどで実際にあったよう

    臓器移植法改正A案 | 天才たぬき教授の生活
  • 銃刀法にいう「所持」 | 天才たぬき教授の生活

    日の朝日新聞夕刊に、「『番組でタレント手に猟銃』家宅捜索」という記事が出ています。滋賀県余呉町から生放送されたびわ湖放送の番組「ときめき滋賀’S」の中で、タレントの原田伸郎さんが地元猟友会の男性から渡された猟銃を手にしたことが、銃刀法3条の「拳銃所持」に当たり、同法31条によって1年以上10年以下の懲役になるというのです。もちろん、番組の中で短時間、物の猟銃を持ってみろと言われて持ったのでしょうから、数秒間のことでしょう。これを理由に、滋賀県警は、5月13日にびわ湖放送社を家宅捜索し、日、原田さんから事情を聴く方針だというのです。 これには、滋賀県生まれのたぬきも驚きました。「滋賀県警って、そんなに暇だったの?!」って。いやはや、滋賀県は平和なところです。 冗談はこれくらいにして、これが「拳銃所持」に当たり、放送局を家宅捜索する理由になる???少なくとも税金の無駄遣い。 たぬきの調

    銃刀法にいう「所持」 | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2009/06/06
  • 偽証罪の訴追権 | 天才たぬき教授の生活

    JUGEMテーマ:学問・学校 タレントの羽賀研二被告の詐欺事件に関連して、検察は、羽賀被告の一審無罪の決め手となった証言をした証人を偽証罪で在宅起訴したというニュースがはいってきました。 刑事法を真面目に勉強した人間なら、これを聞いて、「何をするんだ!」と怒るはずです。というのも、たとえ偽証の疑いがあったとしても、当該事件はまだ継続中で、控訴審の審理を待っているのですから。その中で、被告人に有利な証言をした承認を「偽証」と決めつけて起訴したら、どうなると思います?あるいは、「そのような証言をしたら偽証罪で起訴するぞ!」と、あらかじめ証人を脅していたら? この心配が杞憂でないことは、「八海事件」という有名な冤罪事件をご存知の方なら、ご理解いただけることと思います。この事件では、検察は、無実を訴えていた被告人らに有利な証言をした証人らを偽証罪で逮捕し起訴するなどして、その証言を変えさせることま

    偽証罪の訴追権 | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2009/03/26
  • PFI刑務所―島根あさひ社会復帰促進センター | 天才たぬき教授の生活

    3月5日に、大学院のゼミ仲間で、「島根あさひ社会復帰促進センター」つまりPFI刑務所第2号を見学してきました。興味深い内容でした。 とくに、A級受刑者2000人収容のうち、昨年10月に開所して半年ほどのこの時期、まだ500人弱しか受刑者がいないこと、国との契約によって、これを近いうちに2000人に近い数字にもっていくことになっていること、収容者数がそれに満たない場合は、国からの委託料が、協議の上ですが、減額されることもありうること、刑務官の定員削減計画は、この施設も例外ではないことなどが、気になる情報でした。また、4月からは、腎臓透析の必要なA級受刑者を西日全体からここに集める予定とのことで、透析機が15台30床並んでいた様は壮観でした。 そのほか、日でここしかない麻薬粉末探知機や、MRIを用いた身体検査などなど、お金の掛け方が違います。もっとも、セキュリティが良すぎて、着雪や強風によ

    PFI刑務所―島根あさひ社会復帰促進センター | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2009/03/26
  • 天才たぬき教授の生活 | 公訴時効の廃止と遡及適用?

    最近、「世田谷一家殺人事件」を契機として、殺人罪等の公訴時効制度の廃止と、そしておそらく、その遡及適用をも求める声があるようです。昨日午後9時のNHKニュースでも、その特集がありました。でも、専門家としては、ちょっと考えておいてほしい問題があります。刑法総論の教科書にも書いたものですが、その一節を引用しておきます。公訴時効に関する「実体法説」と「訴訟法説」との争いの意味という専門的な内容で恐縮ですが。 「公訴時効の質を訴訟法的なものとみるなら、たとえば犯罪後の公訴時効期間の延長は、訴求処罰の禁止ないし事後法の禁止に触れないこととなって、犯人が訴追されなければいつまででも時効を延長することができることになってしまうであろう。事実、ドイツでは、ナチスの支配下において主として経済犯罪の事後的延長が訴訟法説によって正当化され、戦後には反対に、逃亡中のナチス等の戦争犯罪人を訴追できるようにするため

    天才たぬき教授の生活 | 公訴時効の廃止と遡及適用?
    nisoku2
    nisoku2 2008/12/25
  • 救護者に刑の減免を | 天才たぬき教授の生活

    ながいこと、書き込みを忘れていました。 さて、「危険運転致死傷罪」の新設以来、ひき逃げ事件が倍増しています。たぬきは、2年前に、厳罰一辺倒ではなく救護した人に刑の減免を、という提案をしたことがあります。この間、NHKがこの声を取り上げて放映してくれたのですが、朝日新聞は、なかなかまともに取り上げてくれません。ちょっと妙です。 この提案ですが、誤解のないように言えば、現在の「危険運転致死傷罪」を廃止せよというものではありません。そうではなくて、危険運転であっても単なる自動車運転過失であっても、ともかく、被害者を救護するために真摯な努力をした運転者には刑の大幅な減免を認めるというものです。ですので、ひき逃げをした人の刑を軽くせよという主張ではありません。 むしろ、重罰を強調するあまり、飲酒・酩酊運転で事故を起こした場合には、被害者を救護して正直に事故を報告するよりも逃げて酔いを醒ましたほうが刑

    救護者に刑の減免を | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2008/12/19
  • 9.11新司法試験結果と『クライマーズ・ハイ』 | 天才たぬき教授の生活

    JUGEMテーマ:学問・学校 ミクシィに、今年の新司法試験の結果について、以下のような感想を書きました。要するに、当初法務省が設定した合格者数の目安(2500〜2100人)を下回る2065人しか合格させなかったことに対する憤りです。 これにつき、朝日新聞は、12日付朝刊で合格率が2回連続して下がり、法務省が設定した合格者数の目安(2500〜2100人)も下回ったと他人事のように書いています。しかし、下回ったのは、朝日も含めた合格者抑制キャンペーンの結果ではないですか?先の法務大臣、副大臣の姿勢や日弁連の問題のある態度など、いろいろ要因はありますが、法曹養成改革に関する朝日の姿勢は以前から問題で、法科大学院関係者の努力を嘲笑するが如き記事が多いと感じます。それなのに、まるで受験生の質が下がった結果合格者数が伸び悩んだような書き方をして(これが続くようなら、たぬきは、いつか購読をやめてやるなど

    9.11新司法試験結果と『クライマーズ・ハイ』 | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2008/09/12
  • ひき逃げの重罰化か救護の緩刑化か? | 天才たぬき教授の生活

    危険運転致死傷罪ができたために、却って、ひき逃げをする人が増えたようです。たぬきは、同罪が設けられるというときに、すでにこれを心配していました。却って、飲酒がばれないように逃げてから出頭するという人が増え、そのために、助かる人が助からなくなる危険が増すという心配を。 以前、警察幹部がひき逃げをしたときの記事で、警察幹部問として激しい社会的非難を受けるだけでなく懲戒免職になることが怖かったという話を読んだことがあります。この場合は、飲酒に限らず、公務員の失職という制裁の問題ですが、同じ危険を孕んでいました。 そのような心配をしていたら、やはりそれは当たっていたようで、さらに、次の心配、つまりひき逃げ自体のさらなる重罰化という声が出てきました。いわゆる「重罰化スパイラル」です。ただでさえ、刑務所の過剰収容で納税者の負担が大きくなるのに・・・。このような話を聞くたびに、イソップの「北風と太陽」を

    ひき逃げの重罰化か救護の緩刑化か? | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2008/07/10
  • 重大死傷事件に被害者(遺族?)の傍聴を認める少年法改正 | 天才たぬき教授の生活

    JUGEMテーマ:学問・学校 重大死傷事件の被害者(遺族?)に少年審判の傍聴を認める少年法改正が、衆議院を通過したそうです。しかし、他方で、日弁連による調査で、少年逆送事件に関与した被害者側の人物の一部に、暴言を吐くなどの問題行動がみられたことが指摘されています。 詳しくは、以下で。 http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-19618/1.htm 少年事件の場合、たとえば、いじめにあっていた少年が逆襲して死傷事件に至るケースも無いわけではありません。まさに、「被害者と加害者はあざなえる縄の如し」というわけです。ですので、「被害者」と「加害者」が固定的に決まっているわけではなく、結果的に無くなったり重大な傷害を追った側が「被害者」と呼ばれることになる場合もあることを、意識しておかなければならないように思いました。 同じことは、交通事故でも

    重大死傷事件に被害者(遺族?)の傍聴を認める少年法改正 | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2008/06/03
  • 共同正犯における「従属性」 | 天才たぬき教授の生活

    JUGEMテーマ:学問・学校 知人から、以下のような質問を受けました。考えたらおのずとわかるだろうと思いつつも、やはり説明しておく必要を感じましたので、書いてみることにします。 質問は、こういう趣旨のものです。 山口厚先生の『刑法総論[第2版]』をみたところ、共同正犯においては、共犯の従属性が妥当しないと書いてある(同書341頁)。そうなると、共犯の従属性が妥当するのは、狭義の共犯だけ、ということになることになるが、そのような説明は一般的なものなのか? 回答は、以下のようになります。 面倒なので、僕は、要素従属性「類似の問題」と表現することもあるのですが、このように、厳密に言えば、従属性は狭義の共犯のみの問題であって、共同正犯では共同の対象となる行為の問題になります(ただし、共謀のみの共同正犯を否定すれば)。つまり、他の共同正犯者と「何を」共同で実行したことが必要なのかという問題です。 で

    共同正犯における「従属性」 | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2008/04/12
  • 「横浜事件」:免訴事由がないのに原判決を免訴にできるか? | 天才たぬき教授の生活

    JUGEMテーマ:学問・学校 半年以上のブランクが空きましたが、久しぶりに、ここに、「横浜事件」再審最高裁判決について考えたことを書いてみます。もう少し早く書いたほうがよかったのですが。 なお、立川自衛隊官舎に対する住居(?)侵入事件について、最高裁は弁論を開かない方針を決めたようです。このままですと、控訴審の有罪判決が上告棄却によって確定してしまいます。これも、困ったことですが、日を改めて書いてみます。 戦時中最大の言論弾圧事件とされる「横浜事件」の再審で、最高裁第二小法廷は、今月14日、治安維持法違反で有罪が確定した元被告5人(全員死亡)の上告を棄却する判決を言い渡した。これにより、法の廃止と大赦を理由に、有罪か無罪かに踏み込まないまま裁判手続きを打ち切る「免訴」判決が確定する。しかし、このような決着は、将来の再審制度の運用に禍根を残す。理由は簡単である。この再審の対象となっている19

    「横浜事件」:免訴事由がないのに原判決を免訴にできるか? | 天才たぬき教授の生活
    nisoku2
    nisoku2 2008/04/12
  • 1