序章 この手記は、技術の戦場で全力を挙げて戦っていた経験を二つの異なった角度から記したものです。 どちらも横須賀地区にあった空技廠(後に第一技術廠、略して一技廠と改編)で、Aは大学出の新任青年士官として支廠で女子学徒補導官を勤めた私自身の経験、Bは、同じ頃、男子中学動員学徒として本廠に勤めた私の従弟のものです。 これは別々に書いた手記を元とした体験談ですが、原文中の人名(ことに現在生存者)は仮名または略させて頂きます。また後者は始めから人名が略されています。 海軍航空技術廠(空技廠)は海軍航空機に関する研究、試作、性能研究等を担当し、本廠は主として機体、原動機、航空医学、搭載兵器の一部、支廠は搭載兵器の大部分を担当していましたが、組織上はどちらも横須賀鎮守府管下のそれぞれ独立の工作庁となっており、両方併せると職員約2千、工員約3~4万は居たのではないでしょううか、工員数に較べ職員(技術士官