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ブックマーク / jtsutsui.hatenablog.com (14)

  • 研究会のお知らせ:「社会科学における因果性」(追記あり) - 社会学者の研究メモ

    (23日に追記。)まだ全然席に余裕あるので、直前までメール待ってます!(懇親会は予約しちゃいましたが。) (8日18:00に追加情報あり。) 下記の要領で研究会を開催しますので、お知らせいたします。 報告タイトル:社会科学における因果性―現代科学哲学の観点から― 報告者:清水雄也(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程) 日時:2015年7月25日(土)15:00〜17:30(予定) 場所:キャンパスプラザ京都6階第1講習室(JR京都駅前徒歩5分)。入館後、エレベーターで6Fまでお越し下さい。降りて前方向かい側右端の部屋です。 概要:「因果性とは何か」という問いをめぐる現代哲学上の諸議論について,基用語の解説を交えつつ整理し,その概略的な見取図を提供します.その上で,介入説・多元論・文脈主義といった比較的新しい論点を取り上げ,それらの内容や問題点を可能な限り詳しく論じてみたいと思います.

  • 社会学と因果推論 - 社会学者の研究メモ

    8月に入ってからのICPSR統計セミナー、ゼミ合宿、データクリーニング合宿、数理社会学会という怒涛のイベント+出張シリーズが一段落したので、ひさびさに更新します。 先日行われた第56回数理社会学会の新規会長(近藤博之先生)の講演のタイトルは、「ハビトゥス概念を用いた因果の探求」というものでした。そして(すでに論文として発表されている)2年前に行われた前会長の石田浩先生の講演は「社会科学における因果推論の可能性」というものでした。近藤現会長が狙ったのかどうかは不明ですが、両者とも社会科学あるいは社会学における因果関係の位置づけについて極めて示唆的なものです。 石田先生の講演では、ラザーズフェルドのelaborationの考え方から始まり、60年代後半から70年代にかけての回帰分析時代、その後のパネルデータ分析の隆盛、そしてルービンらの反実仮想的な枠組みに至るまで、計量社会科学における因果関係

    社会学と因果推論 - 社会学者の研究メモ
  • なぜ経済学には権力という概念がないか - 社会学者の研究メモ

    (今回の議論はたぶん、かなり穴があります。ご承知おきを。...ってブログの記事はそもそもそういうものか。) 経済学に権力という概念が全くないわけではないと思うのですが、社会学ほどは目立たない概念でしょう。なぜでしょうか。 このことは、権力の定義を考えると自ずと見えてくるのではないでしょうか。まず手始めにWikipediaをみてみましょう。 権力(けんりょく、ドイツ語 Macht、英語 power)は、何らかの物理的強制力の保有という裏づけをもって、他者をその意に反してでも服従させるという、支配のための力のことである。権力者とは、そうした権力を独占的に、あるいは他に優越して保有し、それを行使する可能性をもつ者を言う。(権力:Wikipedia) ウェーバー的な定義ですが、日常的定義(人々が権力という言葉でどういった状態を指しているか)としてはこんなもんで十分なんじゃないでしょうか(フーコーの

    なぜ経済学には権力という概念がないか - 社会学者の研究メモ
  • 因果推論の社会学 - 社会学者の研究メモ

    前回の「関西計量社会学研究会」で、「計量社会学と因果推論」という主題でお話をさせていただいた。メモ代わりにそこで話したこと、その後に考えたことを書いておく。 まず、上記研究会で話したことは、短く言うと以下のとおり。 最近は観察データの分析でも因果推論(措置効果モデル)の枠組みが使われることが多くなっている。 因果推論の枠組みでは個体特性(性別、出生年、観察されない性向等)の「効果」は基的に除去される対象だが、他方で計量社会学者はその個体特性自体に関心を持ってきた。 多少厳密な因果推論(措置効果モデル)の枠組みだと、同一個体に割付(アサインメント)できないものは原因にはなりえない、とされる。性別は(例外はあろうが)その典型例である。しかし主に社会学ではこういった個体の属性の「効果」をみるということがしばしばなされていた。これに対して、因果推論派の方からは「それは違うんじゃないか」というツッ

    因果推論の社会学 - 社会学者の研究メモ
    nizimeta
    nizimeta 2015/04/11
  • 『統計学が最強の学問である』感想 - 社会学者の研究メモ

    読みました! 自信をもって学生にお勧めできるであると思います。 統計学が最強の学問である 作者: 西内啓出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/01/24メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 11人 クリック: 209回この商品を含むブログ (126件) を見る 「統計学が最強」という言い方の"根拠"となっているのは、なによりもランダム化比較実験によって理論や経験知をすっ飛ばして因果関係に白黒つけることができるから、ということらしいです。このカテゴリーの(いわゆる統計リテラシー)は数あれど、たいていは調査(標抽出)の怪しさや分かりやすい擬似相関について言及があるのみで、ランダム化を基軸に据えた記述はほとんどなかったと思います。言うまでもなく、R. フィッシャーの大発明であるランダム化は、実験のみならず調査観察データの分析の方針(特に計量経済学のもの)にも決定的な影

    『統計学が最強の学問である』感想 - 社会学者の研究メモ
  • シンプソンのパラドックスの図解 - 社会学者の研究メモ

    まず、シンプソンのパラドックスというのは以下のような状態のこと。新薬の旧薬に対する生存率の優位性を考えてみましょう。 死亡 生存 旧薬 600 500 新薬 900 100 これだけみると、旧薬生存のオッズは0.83、新薬生存のオッズは0.11、オッズ比0.13で新薬の方が圧倒的に死亡しやすいということになります。ここで第3の変数である性別を導入し、層別分割表を書いてみると... 女 死亡 生存 男 死亡 生存 旧薬 100 5 旧薬 500 495 新薬 890 88 新薬 10 12 となり、女の新薬生存のオッズ比は1.98、男のオッズ比は1.21となり、どちらもプラスになります。男女の区別なくデータを見たときは新薬が不利だったのが、男女別にすると新薬が有利になるため、パラドックスと呼ばれています。なぜこれが生じるかというと、男女で薬の効き方の方向は同じ(プラス)だが、全体的に死亡率の

    シンプソンのパラドックスの図解 - 社会学者の研究メモ
  • 社会学方法論と社会調査論の関係 - 社会学者の研究メモ

    (長文かつ専門家向けであり、一部の人以外にとってはあまりおもしろくない記事なので、あらかじめご了承ください。) 教科書的な社会学方法論 教科書的な社会学方法論においては、主観主義的立場と客観主義的立場の分断について論じられることが多い。いくつかのテキストブックには、主観主義的立場の元祖はウェーバーであると書いてあり、それはウェーバーが「理解社会学」の方法として「行為の行為者にとっての意味を理解することが必要だ」と説いたことに根拠付けられている。これに対して客観主義的立場の元祖はデュルケムであり、それはデュルケムが個人の外に存在する社会的事実に注目せよ、と説いたことに由来する。 他方で、社会学の実証研究に従事している人たちは、多くの場合こういった区分をそもそも参照していないように思える。つまり社会学のテキストブックに書かれているような方法論と、現在実践されている、特に社会調査論に依拠した経験

    社会学方法論と社会調査論の関係 - 社会学者の研究メモ
  • 計量分析を使った論文の構成ガイド - 社会学者の研究メモ

    研究者個々人の好みや分野によって異なるところもあるが、標準的・テキストブック的には、以下のようになるだろう。 イントロダクション 先行研究の紹介と問い・仮説の設定 分析 結論/討議/インプリケーション この「分析」のパートについては、社会学界隈では下記のように教えることが多いような気がする。 データと変数の説明 使用する変数の基統計量 丁寧な記述的分析(クロス表やグラフ) モデルを使った推定 確かに社会学の論文では、モデルの推定をする前にたくさんのクロス表を掲載していることがある。そうしておいて、最後に「クロス表から得られた以上の結果を重回帰分析で検証してみる」のである。かつては私もそのようにしていたのだが、自分としてはこの方針で論文を書くことはなくなった。 はたして以上のような分析の手順は、意味のある手順であるといえるだろうか? モデル推定で擬似相関であることが分かるような変数の効果に

    計量分析を使った論文の構成ガイド - 社会学者の研究メモ
  • 社会保障の「気前良さ」は政府支出の大きさでは測れない - 社会学者の研究メモ

    政府は増大する社会保障支出を背景に、いよいよ増税に向けた調整を格化させている。他方でアカデミズムにおける社会保障論(福祉国家論)をみると、日は基的に社会保障に関して低い水準にあるということがたいていの議論の出発点となっており、現在の政府の政策展開とアカデミズムのあいだには奇妙なズレがあることが分かる。 このズレはいかにして生じているのだろうか? ある国の社会保障の手厚さを測る指標としてしばしば社会保障支出のGDP比が用いられる。また、日政府はしばしば国民負担率という指標を用いる。しかし、たとえば年金支出は高齢化率にしたがって上昇するので、「年金支出の規模が大きいから社会保障が充実している」ということにはならない。失業率と失業手当の関係も同じで、失業率が高ければ失業手当支出も増えるが、かといって雇用関連支出が「充実している」というわけではない。 図は2007年のOECD諸国の社会支出

    社会保障の「気前良さ」は政府支出の大きさでは測れない - 社会学者の研究メモ
  • 反事実的状況のマクロシミュレーション - 社会学者の研究メモ

    (授業やら会議やらでバタバタ気味で、誤字などある可能性もありますが、とりあえずあげておきます。) 性別賃金格差の研究では、しばしば「男女の◯◯構成が同じだと仮定すれば賃金格差は△△だけ縮小する」といった、マクロレベルでの反事実的状況の想定が行われている。マイクロデータを使った研究では因果志向の推定モデル(回帰分析は一般にそうだが、ヘックマンのセレクションモデルや各種パネルモデルが典型だろう)が試みられるが、データの蓄積の面からも、マクロデータの活用方法が工夫されることへの要請は小さくないといえる。 利用の蓄積が多いのはブラインダー・ワハカ分解だろう*1。様々なところで解説がされているので詳しくは説明しないが、男女それぞれの賃金関数を 男性賃金=ΣβmXm+ε 女性賃金=ΣβfXf+ε とする。βmは個々の要因の男性における係数、Xmは要因の観察値である(女性についても同様)。この式を、差を

    反事実的状況のマクロシミュレーション - 社会学者の研究メモ
  • 社会学における「理論の実証」 - 社会学者の研究メモ

    (以下は二〜三カ月前に書いたメモですが、寝かせておいてもあまり意味がなさそうだし、稲葉先生もシノドスの論考を公開されたのでいいタイミングだと思うのもあり、ちょっと手を入れた上で公開します。) 社会学の問いの特徴 私は、学部のゼミでは(大学院でも基的にはそうだが)、いわゆる「標準的な研究プロセス」に従って個人研究をするように指導している。標準的な研究プロセスとは、問いを立て、それに対する理論仮説をデータ(質的・量的)で検証するという手続である。 その際、しばしば「社会学的な問いの立て方」というものを説明する必要が出てくることがある。学生は基的に社会学の授業をいくつか受けているので、そうしたほうが効率がよいからである。それに、意外に「社会学的な問いの立て方」を説明するのは簡単なのだ。 それは、「注目する現象/人間行動が、性別、年齢、学歴で違いを持つかどうかをまず考えてみたら?」というもので

    社会学における「理論の実証」 - 社会学者の研究メモ
  • 第一回「連携」研究会を終えて - 社会学者の研究メモ

    「来ても10人くらいだろうから、ちっこい部屋でいいや」という予想を大幅に上回る30名の方が参加された「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性・第一回研究会」を、無事終了致しました。(無事、といってもちょっと研究会体の時間を長く取りすぎて、最後はみなさんお疲れでしたが...。) 備忘録として、ここに当日の様子を書き留めておきます。 午前11時からは筒井の報告。研究会が始まる前から、午後に報告してくれる酒井泰斗さん(id:contractio)をすぐに認識できなかったり(6年ほど前にお会いした時と多少違って見えた)、予告なしに姿を見せられた稲葉先生(id:shinichiroinaba)をこれまたすぐに認識できてなかったり(ウェブの写真と違う...)、多少の焦りはありましたが、報告(「計量分析はどのようになされているのか:回帰分析を中心に」)自体はまあうまく行ったかなと思い

  • 「統計オタク」の分析はつまらない? - 社会学者の研究メモ

    実践としての統計学 作者: 佐伯胖,松原望出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2000/01メディア: 単行購入: 48人 クリック: 629回この商品を含むブログ (16件) を見る 第5章「統計の実践的意味を考える」(佐藤俊樹) 研究会に向けて、同じ社会学者が書いた統計分析についてのエッセイということで読んでみた。頭を整理する意味で、サマリを作ってみた。 5.1 統計解析の「意味」 SPSSなどのソフトウェアの普及のせいで、意味もわからず「ハウツー」で統計分析をする人が増えて、統計学的に間違った分析が横行している。(例:全数調査でカイ二乗検定。) なぜ「ハウ・ツー」ユーザが増えたのか。それは統計パッケージソフトが普及して、統計学の知識がなくても結果だけは出せるようになったからである。(以前はそれができなかったので、結果を出す人は手順の意味を理解していた。) いくら統計パッケー

    「統計オタク」の分析はつまらない? - 社会学者の研究メモ
  • (非計量さん向けの)統計学の話:バイアス編 - 社会学者の研究メモ

    (今回はですます調でいく。いや行きます。) まずは、私の後輩や知人たちが書いたです。↓ エスノメソドロジー―人びとの実践から学ぶ (ワードマップ) 作者: 前田泰樹,水川喜文,岡田光弘出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2007/08/03メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 1,065回この商品を含むブログ (99件) を見る このなかに、次のような文章があります。 どのような研究に対しても、その主張の妥当性を、そこで採用されている方法と無関係に論じることはできません。だから、「事例の数」やそこから得られる「一般性」を問う前にまず、ある研究が明らかにしようとしていることが、そもそも事例の数によって保証される種類のものなのかどうかということ自体を考えなくてはなりません。 このことは言ってみれば「当然」のことなのですが、研究者の間ではあまり考えぬかれていない重要な論点

    (非計量さん向けの)統計学の話:バイアス編 - 社会学者の研究メモ
    nizimeta
    nizimeta 2011/05/11
    “少なくとも社会科学の計量分析では、バイアスとは、実際には要因間の関連性の考察の不足を、何らかの基準に照らして指摘する際に便宜的に使う言葉なのです。心理学系の研究者はこのことを意識することが多い”
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