「供述弱者」とは、耳慣れない言葉だが、捜査や裁判で、言語能力や語学力が乏しいために、自らの考えや思いをうまく表現できず、自分自身を守れない人たちのことを指す。主に知的障害のある人や少年少女、外国人などが当てはまり、相手に迎合しやすい特性がある──。 この言葉が、日本の司法の闇を白日の下に晒す、新たなキーワードとして注目されたのはごく最近のことだ。Forbes JAPAN Webでは、この4月から長期連載「#供述弱者を知る」を展開しているが、書き手である中日新聞の秦融編集委員が率いる「呼吸器事件取材班」が、2020年12月に日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞した。 今回は、連載からスピンオフして、鍵となる3人の特別インタビューをした。取材班が追ってきた滋賀県の「人工呼吸器外し殺人事件」で、今年春に晴れて無罪判決が言い渡された西山美香さん、秦編集委員とは同期の元新聞記者で精神科医の小出将則