イワン・セルゲーヴィチ・ツルゲーネフ(1818~1883) ロシア・オリョールの貴族家系に生まれる。ペテルスブルグ大学文学部哲学科を卒業後、20歳でベルリン大学に留学。美しい自然の中で生きる農民の生活を写し描いた短編集「猟人日記」は大流行し農奴制批判の気運を高めたが、政府の反感を買い後に幽閉されてしまう。作品に通底するニヒリズムと叙情溢れる自然描写は後のロシア文学のみならず欧州全土の文豪たちに広く影響を与えた。日本では二葉亭四迷によって翻訳され、明治初期の文壇に自然主義の風潮をもたらした。他の代表作は「ルージン」「父と子」「処女地」など。 16歳のヴラジミールは両親の持つモスクワの別荘で近所に住む21歳の令嬢・ジナイーダと出会い一目で恋に落ちてしまう。純情な彼は自由奔放で複数の男を手玉に取るジナイーダに日々翻弄されるばかりだったが、彼の恋心は募る一方。だがある日、彼はジナイーダが自分以外の