覚醒を要求する社会では、カフェインは自然と身の回りに溢れてくる。特に日本においてこの薬物は、コーヒーや紅茶はもちろん、 清涼飲料水やお菓子、クスリなら風邪薬や頭痛薬、吐き気止め、鼻炎用内服液、強心剤、肩こり薬など、至るところに混ざり込ん でいる。どういった計算のしかたをしたのか知らないが、現在でも全人類が1日ひとりあたり摂取するカフェインの量は平均50 mgにも上るという。歴史的に見てもイスラムの僧院で、カトリックの礼拝堂で、禅宗の寺院で、眠気ざましとして用いられてきたし、 17、18世紀ヨーロッパのコーヒーハウスでは、議論のために脳を活性化させる”覚醒剤”として利用されていた。 確かにカフェインは非常に身近な薬物ではある。だからといってカフェインを穏やかなクスリと思うのは間違いだ。「カフェインの効 き目は覚醒剤に匹敵する」と言う人がいるほど、カフェインは非常に”強い”クスリだ