ベトナム戦争に参戦した韓国軍に家族を虐殺されたとして、ベトナム人遺族が韓国政府に損害賠償を求めた訴訟の控訴審が1月、ソウルの裁判所で始まった。軍による民間人虐殺疑惑は1999年の韓国メディア報道で認知され始め、昨年の一審判決で初めて裁判所が虐殺を認定した。だが政府は一貫して否定。歴史をどう受け止めるのか、見方は割れている。 「加害者を韓国軍と断定できない。国家賠償を命じるのは正義に反する」。1月19日に行われた控訴審の第1回口頭弁論で政府側は主張した。 自由主義陣営に属し、共産主義の北朝鮮と対峙する韓国は64~73年、米国が支援する南ベトナムに約32万5千人を派兵、約5千人が戦死した。韓国の研究者らは各地での韓国軍による虐殺犠牲者を約1万人と推計するが、正確な実態は不明だ。訴訟はベトナム中部クアンナム省の村の女性グエン・ティ・タンさん(63)が2020年に起こした。(共同)