30日投開票の総選挙でも、農業政策は大きな争点となっており、自民、民主両党はマニフェスト(政権公約)で食料自給率50%の達成を掲げる。ただ、政権交代を視野に入れる民主党の「戸別所得補償」に象徴されるように、票目当ての“過保護”農政の色合いが強い。やる気のある農家の意欲を引き出したり、企業の農業参入を促すなどの成長戦略が欠如しており、自給率の上昇にはつながらないとの声が大勢だ。 民主党の公約の目玉の一つである所得補償制度は、県や市町村ごとにコメ、麦などの生産量目標を設定し、売り上げが生産費(全国平均)を下回り赤字が出た場合、その全額を農家に直接支払う仕組みだ。年度の予算は1兆円で、農業関係の公共事業の見直しなどで捻出(ねんしゅつ)するという。 生産目標を守らない農家は制度の対象外とする方針。コメの減反政策については、減反を実施しても米価の下落が止まらないことへの農家の不満を受け、廃止を打ち出