安倍晋三首相は「正社員の有効求人倍率が初めて1倍を超えた」(8月=1・01倍)と誇ります。しかし有効求人倍率が急激に高まっている介護・保育・医療の3分野を除くと、倍率が1倍を大きく下回ることは確実です。3分野で倍率が高いのは、低賃金・過重労働が従事者の離職と求職者の不足を招いているからです。これは経済政策アベノミクスの果実などではありません。安倍政権の失政が引き起こした社会的危機です。(杉本恒如) 正社員の職業別データはまとめられておらず、正確な数字は不明です。職業別に発表されているのは正社員・非正社員を合わせた常用雇用(4カ月以上・パート除外)のデータです。これを見ると、8月の有効求人倍率は1・28倍です。 同月の常用雇用の求人のうち、介護・保育・医療3分野は約31万人に上り、全体(149万人)の2割を占めます。他方で3分野の求職は11万人しかなく、倍率は2・71倍と異常な高さになってい