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ブックマーク / www.sanin-chuo.co.jp (7)

  • 山陰中央新報 - 安保法案採決/国民の声に耳を傾けよ

    自民、公明両党は衆院平和安全法制特別委員会で集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の採決に踏み切り、与党単独で可決した。審議が110時間を超えたとはいえ、報道各社の世論調査では反対の声が依然として多数を占める。各地で反対運動も広がり、閣僚からも「理解が進んでいない」との声が出ている。採決は世論を無視した強行と言わざるを得ない。 政府、与党は16日にも衆院会議で可決し法案を参院に送る構えだ。なぜそんなに急ぐのか。衆院会議の採決に国民の代表として自信を持って臨めるのか。与党の衆院議員はもう一度国民の声に耳を傾けるべきだ。 安倍晋三首相はわずか数日前に「私も丁寧に説明してきた」と述べたが、この日の締めくくり総括質疑では「理解が進んでいないのも事実だ」と前言を撤回した。 閣僚からも「理解が進んできたと言い切る自信はあまりない」(石破茂地方創生担当相)、「より深い理解の下で国の安全

  • 山陰中央新報 - 政治の言葉が軽い

    政治の言葉が軽い−「重大な決断をした以上、国民の声を聴かなければいけない」。安保法案ではない。8カ月前、安倍晋三首相は会見で、こう力説し、消費税再引き上げの先送りを問う形で衆院を解散した。税制は「国民生活に大きな影響を与える」との理屈だった▼片や、賛否が分かれ、各種世論調査では反対の声が強いまま委員会採決に突き進んだ安保法案。消費税率の2%上乗せ時期を先にずらす判断と、憲法解釈を変えて自衛隊の活動範囲を大幅に広げるのと、重大さの度合いが逆に映る▼憲法解釈は、理解不足の一般国民ではなく、時の政権に任せろ、という姿勢なのだろうか。それなら、同じ会見で首相が強調した「信なくば立たず」の言葉は一体何だったのかと思う。まさか「白紙委任」を求めたのではあるまい▼小泉純一郎元首相が好んで口にした「信なくば立たず」の語源は言うまでもなく『論語』。為政者の心構えとして「(生活)の安定と十分な軍備、そして政

  • 山陰中央新報 - 集団的自衛権容認1年/看過していい憲法観か

    安倍内閣が、集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定から1年。今年2月には自民、公明両党が協議を再開し、その合意を経て、政府が5月に安全保障関連法案を国会提出。衆院平和安全法制特別委員会で審議が行われてきた。 しかし、国会審議を重ねても法案に対する国民の理解は深まっていない。それどころか衆院憲法審査会で憲法学者3人全員が法案を「違憲」と指摘したことをきっかけに集団的自衛権の行使容認の合憲性があらためて主要な争点になっている。 このため議論は、安倍晋三首相が、有識者懇談会の報告を受けて政府、与党に行使容認の検討を指示した昨年5月時点まで立ち戻った格好だ。 論議がかみ合わない背景には、国際情勢の変化に応じて憲法解釈を変えてもいいとする安倍首相の考えがある。 首相は6月18日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使に関する考えを問われ、「国際情勢に目をつぶり、従来の解釈に固執するのは

  • 山陰中央新報 - 首相・沖縄知事会談/事態打開のきっかけに

    安倍晋三首相が沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事と官邸で会談、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設について意見を交わした。両氏の会談は、昨年12月に翁長氏が移設阻止を掲げて就任して以来、初めて。翁長氏の求めに首相が応じていなかったためだ。話し合いは平行線だったようだが、会談が実現したのは一定の評価ができる。 翁長氏と政府側は、辺野古移設に向けた海底作業をめぐり対立が激化していた。会談を26日からの首相の米国訪問に合わせた「沖縄県と話し合いをしている」というアリバイづくりに終わらせず、事態打開のきっかけにすべきだ。 会談の中核的な部分は、首相が普天間飛行場の辺野古移設を「唯一の解決策だ」という認識をあらためて示したのに対して、翁長氏が「辺野古移設が唯一の解決策という固定観念に縛られず、移設作業を中止してほしい」と要請したやりとりだろう。 宜野湾市の市街地にある普天間飛行

  • 山陰中央新報 - 道徳の教科化/価値観を押し付けずに

    中教審が、小中学校で週1回行われている「道徳の時間」を教科に格上げし、検定教科書と評価を導入するよう下村博文文部科学相に答申した。2018年度から実施される予定だ。 答申では、子どもたちに特定の価値観を押し付けるような指導は「道徳教育が目指す方向の対極と言わなければならない」と否定した。その大原則が守られるよう注視していきたい。 道徳の教科化は、深刻化するいじめ問題への対応策として議論が始まった。それだけに、効果に期待が寄せられてはいるが、教科化が実現すれば、いじめ問題は解決に向かうと考えるのは早計だ。 逆に、学校現場がますます忙しくなり、窮屈な環境になってしまう恐れを指摘する声も少なくない。道徳が国語や算数など体系的に学ぶほかの教科と同等になることで、教師が研修や研究授業、到達状況の評価に追われ、子どもたちと過ごし、考える時間を奪われてしまうようになれば末転倒だ。 現行の道徳教

  • 山陰中央新報 - 同盟とハリネズミ

    言葉は時代の空気を映す。日々のニュースで当たり前に出てくる「日米同盟」という用語も、大手を振って使われるようになってからまだ20年にならない。昔は国民の間に、それだけ抵抗感があった証しだろう▼軍事的意味合いを含む「同盟」(alliance)が日米共同声明で初めて使われたのは33年前の鈴木善幸・レーガン会談。この時、国内向けは「同盟関係」とぼかされたが、首相が「軍事は含まない」と釈明したことで紛糾。当時の外相が辞任する騒ぎになった▼堂々と使われるようになったのは、それから約15年後の橋龍太郎首相の時代からだ。外務省も今は「日米同盟は、日の安全とアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠な基礎」とうたい、政府は「日米同盟の抑止力を強める」と集団的自衛権の容認に踏み出す▼憲法は変わっていないのに、何かが国民の意識を変えた。その先鞭(せんべん)をつける役回りになった鈴木元首相は、米議会との懇談

  • 山陰中央新報 - 橋下市長発言/人権への認識を求めたい

    維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、旧日軍時代の従軍慰安婦について「当時は軍の規律を維持するために必要だった」と容認する考えを表明。先日沖縄を視察した際には、駐留する米軍の幹部に対して海兵隊員に風俗業者を活用させるよう求めたことを記者団に明らかにした。 大都市の市長という公職にあり、衆院では第3党の地位を占める政党の共同代表の発言である。これが日を代表し国民の大きな期待を集める政治家の歴史認識なのか。人は極めて「率直」に語ったつもりなのかもしれないが、慎重さが足りないのではないか。 従軍慰安婦については、第2次大戦中、命懸けで戦闘に臨む兵士には心休まる時間が必要だった。それが「慰安婦」だったという論理を展開した。維新の会のもう一人の共同代表、石原慎太郎氏も「軍と売春は付きものだ」と発言している。 もう一つは、現在の在日米軍についての言及だ。祖国を離れて軍務に就く若者には、息

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