これは名探偵の推理ではない。今回のラグビーワールドカップで日本史上最多5つものトライを奪ったWTB松島幸太朗の成長の秘密を探る、ぼんくら記者による臆測だ。 1トライを挙げた前回大会からの変化――。W杯開幕前、まだ日本中に知られる前の松島は言っていた。 「分析して、準備すること。伝えること。そのためには1人の時間でも分析しないといけない」 抜群のスピードに目を奪われるが、それを生かす確かな土台を築いた。事実、速さで言えば「僕の中でのフェラーリは福岡堅樹です」と口にしている。同学年の韋駄天のように直線的ではない。松島の走りはスラローム。わずかなコースを見つけ、間隙を突く。 今大会に向けてはリーダーズグループに入った。恥ずかしがり屋がコミュニケーションにも時間を費やした。「試合のため」ではなく「勝つため」、「ベスト8」への準備がそこには存在した。わずかな意識の差だが、ピッチ上では大きな差が生まれ