巨大な津波が、船を、車を、住宅をのみ込んだ。街が消えた。家々がなすすべもなく燃え続けた。11日、国内で観測史上最大マグニチュード(M)8・8の地震が東北を襲った。突き上げる揺れ、牙をむき迫り来る海。東北は恐怖に震えた。 宮城県南三陸町の高台にある志津川高に避難した。海と街を見た。 午後3時35分ごろ、海の奥が白く波立ち、遠くで大型の漁船が流された。 直後だ。町の中心部を南北に貫く新井田川沿いで、土煙が上がった。川を逆流した津波が、住宅を押しつぶした土煙だ。 堤防を乗り越えた津波が、川沿いの建物を次々と襲った。瞬く間に50〜60軒がなぎ倒された。 周囲には避難住民約200人がいた。若い女性2人が抱きつき、泣きだした。あちこちから「キャー」という悲鳴が上がる。「なんで、どうして」。あまりの光景に、言葉がつながらない。 新井田川からあふれた津波と、海から押し寄せた津波が一つと化し、町