◇市と県、言い分ちぐはぐ--手法許可、要否巡り ◇「グレーゾーン」解釈に差 昨年7月の豪雨災害で発生した土砂の分別処理事業の委託業者選定を巡り、防府市が指名競争入札を行わず1社と3億円の随意契約をした問題が波紋を広げている。市議会は、地方自治法100条に基づく調査特別委員会を設置。一方、市に処理方法などを指導してきた県は異例の反論会見を開き、「契約などについては、どこまでも防府市の問題」と突き放した。契約に至るまでの経緯と、食い違う市と県の言い分をまとめた。【脇山隆俊】 ■事業内容 市クリーンセンターによると、問題の契約は、市内4カ所に仮置きされている土砂約5万立方メートルを土や可燃物、不燃物などに分別する処理事業だ。総事業費は約3億円で、うち約1億2000万円が国の補助。市は、「パワーショベルの先にスケルトンバケット(ふるい)をつけて分別する方法が最適」として手続きを進め、「当初は複数の
▽業務膨大で見送り決断 防府市が、昨年7月21日の豪雨災害で被災した農地と農業用施設の小規模復旧をめぐり、地権者や所有者への補助制度の財源として活用できる「小災害債」の国への発行申請を見送ったことが、12日の市議会定例会本会議で取り上げられた。 同債は、返済時に全額が国の地方交付税で補てんされる。市にとって損失との指摘に対し、嘉村悦男副市長は「国の補助事業に全力を挙げ、職員の肉体的にも限界だった。見送らざるを得なかった」と説明した。 防府市は、農地、農業用施設の復旧のうち、国の補助対象(被害額40万円以上)から外れる小規模事業で、被害額が13万円以上について農地は90%、農業用施設は全額を地権者や所有者に補助する方針を決定。2009年度補正予算案と10年度当初予算案に計4千万円を計上している。 申請は先月26日時点の集計で約160件、申請額は約6千万円。市はさらに、13万円未満の復旧事業や
防府市は、昨年7月の豪雨災害で被災した農地を自力復旧させた農家を対象に、一律で1戸あたり3万円の補助を行う。国の補助対象とならない復旧費13万円未満の農地や農業用施設の所有者で、これから業者に依頼して復旧工事を行う農家についても市独自に補助。農地は工事費の90%、農業用施設は全額を負担する。12日の市議会で発表した。 市によると、従来まで「工事未着手で、復旧費13万円以上、40万円未満」としていた支援の対象を広げ、8日から申請の受け付けを開始。申請期限はいずれも4月30日まで。 対象拡大前の申請受付期間には、190件の応募があり、事業費は7000万円を超える見込み。議会では、議員から「国に起債申請していれば市に負担はなかった」との指摘もあった。嘉村悦男副市長は「多くの個所が被災し、申請などに時間的制約もあり、小災害復旧事業に取り組むのは物理的に不可能だった」と理解を求めた。【脇山隆俊】 〔
◆24世帯なお仮住まい 県内で17人の死者が出た昨年7月の豪雨災害から21日で半年となった。14人の犠牲者が集中した防府市では、街は穏やかな表情を取り戻しつつあるが、24世帯が今なお仮住まいを強いられ、郊外に出れば崩れた農地や林道が残る。復興への道のりは半ばだ。 (川田征男) ◆崩れた農地 今も 同市牟礼の阿弥陀寺。来月7日、土石流で使用不能になっていた「石風呂」が半年ぶりに再開される。市民ボランティアが土砂を運び出し、隣接の休憩室を含め修復した。「自然に恵まれていることは半面、災害も受けやすい」。林寛孝住職は境内近くを流れる川の改修と、土砂が崩れかけた裏山に砂防ダムを設置するよう求めている。 市によると、市内では復旧作業が一歩ずつ進んでいる。墓石が倒壊した市営大光寺原霊園は堆積(たいせき)した土砂の撤去がほぼ完了したが、墓石の復旧が残され、事業費ベースでの復旧費の進捗(しんちょ
◇マニュアルと現実に差 見直しに現場困惑も ■被災施設入所者 「施設にようやく慣れてきたのか、ご飯をおいしいと食べてくれる」。山口市の特別養護老人ホーム。見舞いに訪れた男性(40)は、入所している祖母(93)の隣で穏やかにほほ笑んだ。祖母は、豪雨災害で7人が亡くなった防府市の特養「ライフケア高砂」で暮らしていた。 7月21日、昼食時のライフケア高砂を土石流が襲った。祖母は認知症もあり、災害時のことをよく覚えていない。それでも多くの人の手を借り、なんとか逃げ出した。別の老人保健施設で3週間暮らした後、県の仲介で今の老人ホームに移ってきた。 避難先の生活に「慣れん」と漏らしていたが、先月の誕生日会で、職員から花束を手渡されると「ありがとう」と繰り返した。男性は、「娘と見舞いに行くと笑ってくれるようになった」と言う。 被災時の入所者で、落ち着き先を探していた80人余りは、県内40ほどの施設や病院
7月に甚大な豪雨災害に見舞われた防府市は26日、被災者支援のため各方面から寄せられた義援金の第1次配分額が決まったと発表した。義援金は、県からの配分金を合わせると約2億1200万円になるが、今回は市に直接送られた約9960万円を被災者に振り分ける。 配分内訳は、人的被害については、死者14人に各86万円▽重傷者(入院)8人に各43万円▽同(通院)2人に各17万2000円。住宅被害については、全壊32件に各86万円▽大規模半壊18件に各60万2000円▽半壊に各43万円▽同(ライフケア高砂入所者)83件に各17万2000円▽一部損壊2件に各8万6000円▽床上浸水120件に8万6000円。 県からの配分金など残額約1億1200万円については、改めて配分委員会を開き、今回の対象者に上乗せして支給するか、対象者の枠を拡大するかなどを検討するという。 〔山口版〕
甚大な豪雨災害に見舞われた防府市への義援金の総額が29日、1億円に達した。 28日には、毛利元就を縁に姉妹都市を結ぶ広島県安芸高田市の浜田一義市長らが防府市役所を訪れ、20万円を松浦正人・防府市長に寄託。浜田市長は「今後も何か協力できるものがあれば、要請してほしい」と話した。 防府市によると、7月28日の受け付け開始から約2カ月間で、2709件1億5万947円の寄付があった(9月29日午後4時現在)。10月中に義援金配分委員会で被災者への配分方法や金額などを協議する予定で、松浦市長は「一刻も早く届けたい」と話した。【脇山隆俊】 〔山口版〕
7月21日の豪雨災害で4人の死者を出した防府市下右田の国道262号付近で、約50か所の山の表面がほぼ同時に崩壊し、崩れた土砂が一斉に剣川に流れ込んで大規模な土石流になっていたことが、山口大大学院理工学研究科の金折裕司教授(58)(応用地球科学)らの調査で明らかになった。10月2日に徳島市で開かれる日本応用地質学会で発表する。 県によると、土石流は午前11時56分に発生。国道262号を通行中の車両約20台や住宅が土砂にのみこまれ、車に乗っていた女性らが死亡した。国道262号は今月6日の仮復旧まで寸断され、物流や人の行き来に大きな影響を及ぼした。 金折教授らの調査チームは7月27日から防府、山口市内の土石流発生現場で、被災後の地形や地質を調査。土石流の通り道を逆にたどり、土砂崩壊の起点を地図上に記録している。 調査の結果、下右田地区では粒子の粗い花こう岩が風化し、マサ(土)状になって広く分布。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く