インタビューというのは、誰がしても同じには決してならない。 資料を事前に読み込み、どんな順番で何を聞くのか、プランを立てて臨む。 それでも人はなかなか本当のことはしゃべらない。拙速に心の深淵にたどり着こうとすれば、真実はくるっと踵を返し、歩き去ってしまう。 最終的に何が決め手になるのか、それは聞き手そのものの「人間としての力」である。 流星ひとつ 作者: 沢木耕太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/10/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 沢木耕太郎の「流星ひとつ」には、聞き手が、手探りで、だが確実に取材対象との「間合い」を詰めていく様が記録されている。2人の息づかいのようなものが行間から伝わってくる。 舞台は1979年秋、東京紀尾井町のホテルニューオータニ四十階にあるバーだ。ウオッカ・トニックを飲みながら、天才歌手・藤圭子という才能の本質へと