「ぼくらが生きているのは、答えのない時代です。でも、それはもしかすると、幸福なことなのかもしれません。答えのない問いについて対話し続けることではじめて開ける世界があるからです」。テレビやラジオで活躍する精神科医・名越康文と、生きるためのヒントを探る。(写真:アフロ) 「時間がない」、「時間に追われる」、「自分の時間が取れない」、「時間を有効に使えない」……。こういった<時間>にまつわる質問を受けることがよくあります。 時間にまつわる悩みを抱えている方がまず気をつけたほうがいいのは、そもそも「時間」を主語や、目的語にしている時点で、それはかなり妄想的な発想に陥っている可能性が高い、ということです。 昨日、今日、明日と時間を区別すること自体が、実は妄想的です。「時間が……」「時間に……」ということが頭に浮かんでいる状態では、僕らは目の前のことに集中できていません。そういう悩みが生じている瞬間、