初めて、授業で泣いた。年度前半の大学院の授業では、14、5人の大学院生たちと、現代日本の教育・仕事・家族に関する、できるだけ新しい文献を読む。私が泣いたのは、「女性の貧困」に関する参考文献として、上間陽子「風俗業界で働く女性のネットワークと学校体験」(『教育社会学研究』第96集、2015年)という論文を紹介していたときだ。この論文では、沖縄の風俗業界で働く二人の女性のケースが詳しく報告されている。その一人、18歳の京香さん(以下、すべて仮名)は、ヤンキー女子グループに属するアネゴ肌の女性である。キャバ嬢として働く間に京香さんは妊娠するが、相手の男性は中絶費用を用意できなかったため、京香さんはつわりをこらえつつ費用が貯まるまで働き、中絶手術を受ける。術後はしばらくお酒を飲んではいけないと看護師に言われていたが、客の応対をしてお酒を飲み、大出血する。このような京香さんの支えになっているのが、ヤ