<シリーズ 文化芸術を考える③> 情報化社会の背景には、今や世界に広がりつつある日本特有の文化があった。そこから社会の変化を読み解いていく。 情報技術の上に存在する多様な文化 ここ15年ほどの間で携帯電話やインターネットが普及し、情報技術が全面化しました。その中で〝情報技術が社会を変える〟ということが数多く語られてきました。 まず、この考えには前提とされる社会像があります。それはアメリカを中心とした欧米近代における〝個人を強くする〟というストーリーです。 それまで国家による戦争に寄与させられてきたコンピューターが、個人が自由に使える「パーソナル・コンピューター」として位置づけられ、インターネットの登場により、国家やマスメディアだけが情報を発信・操作するのではなく、個人が主体的に情報を得たり発信したりすることができるようになりました。これがジャーナリズムの文脈では、個人による「小さな草の根的