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ブックマーク / magazine-k.jp (40)

  • 「真の名」をめぐる闘争

    最初から言い訳がましい話になるが、このエディターズノートは毎月、月初に書くことにしている。しかし今月はずるずると月中を過ぎても書けず、いっそのこともうやめようかとさえ思いつめた。その理由をまず最初に述べる。 崩壊後の風景 月初に書くという趣向は、もともと小田光雄さんの「出版状況クロニクル」に合わせたいという気持ちがあったからだ。日の近代出版流通システムが崩壊していくさまを、長年にわたって出版統計等の数字で跡づけ続けている小田さんのブログを読んでいる出版業界人は多く、私もその一人なのだが、そのタイミングで毎月、出版時評をやるつもりでいた。 しかし、日の近代出版流通システムはもう事実上、崩壊している。その影響は様々なところにあらわれているが、昨年12月の「アイヒマンであってはならない」で紹介した永江朗さんの書いた『私は屋が好きでした』が指摘する、いわゆる「ヘイト」(ただしこれには留保が

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    nstrkd 2020/02/18
  • 民主主義を支える場としての図書館

    図書館」という言葉から最初に連想するものはなんですかと問われたなら、の貸出、新聞や雑誌の閲覧、調べもの、受験勉強……といったあたりを思い浮かべる人が多いのではないか。もしそこに「民主主義」という言葉が加わったら、はたして違和感はあるだろうか。 図書館を舞台にしたドキュメンタリー フレデリック・ワイズマン監督の映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を、先月の終わりに試写会で観た(5月18日より東京・岩波ホールほか全国で順次公開)。約3時間半にわたる超長尺のドキュメンタリー作品であるにもかかわらず、不思議なことにいつまでも観つづけていたい気持ちにさせられた。その理由はこの映画のテーマと深く関わっている。 『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の主題は、図書館を題材にしていることから想像されがちな「」や「読書」ではない。あえてキーワードを挙げるとすれば、「コミュニティ」「文

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    nstrkd 2019/05/15
  • 献本の倫理

    元『ユリイカ』編集長の郡淳一郎氏が、4月22日、自身のTwitterにて「「御恵贈(投)頂き(賜り)ました」ツイートの胸糞わるさ」から始まる「はしたない」御礼ツイートを批判したことで、献という出版界の慣習に多くの関心が集まった。 郡氏によれば、この種の御礼ツイートには「わたしには、「皆の衆、俺(私)はコネがあるんだぞ、大事にされているんだぞ、偉いんだぞ」というメッセージ」しかない。つづけて、「商業出版されたは商品なのだから、それをタダでもらったと吹聴するのは、はしたないことだと、なぜわからないのか。黙ってを読むことが中抜きされていると感じる」と憤りを露わにする。 はじめに断っておけば、私は郡氏の献観、また書物観や編集観にまるで共感しない。詳しくが後述するが、私が著者として他者に献するさい、その人にもっとも期待しているのはのPRであり、賞讃でも批判でも話題になること、注目が集まる

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    nstrkd 2019/04/27
  • 一編集者から見た学会と出版社――「売れる本」「売れない本」、そして「売りたい本」

    2009年の学会誌に発表した論文を、堀之内出版の小林えみさんが掘り起こしてくださいました。日近代文学会の了解を得て、10年後の状況をあらためて比較する上でも、数字等を含めそのまま転載いたします。なお、すでに閉鎖したサイトを紹介した注は削除しております。 購入固定層のあった研究書市場が環境の変化とともに、大きく変わろうとしています。単に研究者の減少ということではなく、学会そのものに興味を持たない若手研究者も増えてきているような気がします。数字以外は10年前と変わっていないことも多く、編集者アーカイブ小論の一つとしてご覧ください。 原注は[]とし、追加情報については、《補注》【*編集部注】の形で補っております。なお、専門書をめぐる最近の「売れる」「売る」観点で、サイトでの「所感:2010年代の日の商業出版における著者と編集者の協働について、営業担当者と書店との協働について」もあわせてご覧

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    nstrkd 2019/04/26
  • 闘う図書館と情報の自由――ライブラリー・フリーダム・プロジェクト

    近年、インターネットの普及や書籍等の電子化に伴い、図書館の社会的役割が大きく揺らいでいるように思われる。今や図書館の一般的イメージは、「無料貸屋」、あるいは最悪「コーヒーショップの添え物」といった感じではないだろうか。私は子供のころから図書館のヘビーユーザーであり、今の自分の6、7割方は図書館で借りたやCDから学んだ知識が形作ったと思っているので、寂しいことである。 図書館もさることながら、図書館を司る司書もまた、一般の利用者からは縁遠い存在だ。の整理係として以外、司書の具体的な職掌を知らない人が大多数ではないだろうか。最近では自治体等の財政難もあって、司書の地位も不安定化しているようだ。 こうした傾向は世界的なもののようだが、最近アメリカでは、図書館、あるいは図書館司書に従来とは違った役割を見いだす動きが出てきている。その一つが、Library Freedom Projectだ。2

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    nstrkd 2019/02/27
  • いま本をめぐる環境は、とてもよいのではないか

    あけましておめでとうございます。今年で「マガジン航」は創刊から10年を迎えることになります。 昨年は下北沢に誰でも来ていただける「編集室」をあらたに設けました。今年はこの場所を拠点に、ウェブメディア以外にもいろいろな活動をしてまいります。今後も「マガジン航」をどうぞよろしくお願いいたします。 *   *   * この年末年始は仕事を離れて自分の読みたいだけを読んで過ごした。10年前にこのサイトを立ち上げたときに漠然と思い描いていたような、電子化へと急激に舵を切るような「の未来」は、2019年の現在もまだ現実には訪れていない。けれどもいま私たちが享受している書物をめぐる環境は、読者という立場に身をおくかぎりは、きわめて快適といっていいだろう。 仕事納めのあと、買ってからしばらく積んであったの山を崩し、手始めに野崎歓『水の匂いがするようだ――井伏鱒二のほうへ』(集英社)にとりかかった。一

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    nstrkd 2019/01/09
  • ロジスティックス革命と1940年体制の終わり

    「マガジン航」のエディターズ・ノートは毎月1日に公開することにしているのだが、今月はどうしても考えがまとまらないまま最初の週末を越えてしまった。理由はほかでもない、出版物流の限界がはっきりと露呈してきたからであり、それを前提とした出版産業の未来をポジティブに考えることが難しいと思えたからである。 取次自身が認めたシステム崩壊 出版関係者の多くが読んでいると思われる二つのネット連載が、この問題に触れている。まず小田光雄氏の「出版状況クロニクル」は6月1日の記事(第121回)で「新文化」(4月26日付)や「文化通信」(5月21日付)などが伝えた大手取次のトーハン、日販の経営者の生々しい発言を紹介している。 「出版業界は未曽有の事態が起こりつつある」(トーハン・藤井武彦社長) 「取次業は崩壊の危機にある」(日販・平林彰社長) こうした大仰な発言の背景にあるのは、取次という出版流通ビジネスの屋台骨

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    nstrkd 2018/06/11
  • 第1回 アマゾンがリアル書店を展開する思惑

    ニューヨークの屋は次々に廃業 2017年の11月にアマゾン・ブックスの第1号店がシアトル郊外のモールの一角にできてから、いよいよアマゾンが全米に残りわずかなインディペンデント書店を潰しにかかったか、と恐れる報道も一部には(特になぜか日で)見られた。このまま全米に最大で数百の店舗規模を考えている、と早とちりした不動産関係者のリークもあったが、そんな予想に反して、アマゾン・ブックスは最初の一握りの店舗がオープンした後は「開店準備中」も含めて16店で止まっている(2018年1月末現在)。 2008年秋のリーマン・ショック以降もまったく地価が下がらないニューヨークでは、イーストビレッジにあったセントマークス書店も、珍しいクックブックを集めたボニー・スロトニク書店も、力尽きてクローズしてしまった。マンハッタンはもう薄利多売の屋さんが店を回していけるような場所ではなくなってしまったということだろ

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    nstrkd 2018/02/09
  • インディー文芸誌は文芸復興の担い手となるか

    あけましておめでとうございます。「マガジン航」は2009年10月の創刊以来、9度目の新年を迎えることができました。これも寄稿者および読者のみなさん、スポンサー各位のご支援のおかげです。年もどうぞよろしくお願いします。 純文学を支える裾野の広がりと分散化 さて、新年はじめの話題は文芸出版である。ことに「純文学」と呼ばれる芸術性の高い文芸の世界について、その最初の掲載媒体となる雑誌の面から考えてみたい。きっかけは、以前「マガジン航」でも紹介したことのある書肆侃侃房が発行する文芸ムック「たべるのがおそい」(vol.4)に掲載された宮内悠介の短編「ディレイ・エフェクト」が、第158回芥川龍之介賞の候補作となったことである。以前にも同誌創刊号に掲載された今村夏子「あひる」が第155回芥川賞の候補となっている。 「純文学」というジャンルは作品の内容から定義されるというよりも、掲載媒体から逆算して類推

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    nstrkd 2018/01/04
  • 文庫とライブラリーの間で

    10月13日に東京で開催された、第103回全国図書館大会東京大会の第21分科会(テーマ:公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために)において、文藝春秋の松井清人社長が行った「公共図書館は文庫を貸さないでほしい」との趣旨の発言が波紋を呼んでいる。 この分科会報告はネット上で資料が公開されており、PDFで読むことができる。そこで、私もさっそく手に入れ目を通してみた。上の言葉に相当する部分を引用する。 出版文化を共に支えてくださる公共図書館にお願いします。どうか文庫の貸し出しをやめてください。それによって文庫の売上げが大幅に回復するなどとは思っていません。図書館では文庫は扱っていない、それなら屋で買うしかない、文庫くらいは自分で買おう。そんな空気が醸成されていくことが何より重要なのです。 この分科会では松井氏のほかに、みすず書房の持谷寿夫氏(日書籍出版協会 図書館委員会委員長)、慶應義塾

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  • 絶海の孤島の中にある日本語のヒップホップ論戦

    すこし前に奇妙な事件があった。「ヒップホップ」と「自民党」という、普段あまり一列に並ばない単語がセットになって、そして日語のインターネット空間のなかで「炎上」していた。「燃やされた」のは自民党の新潟県連だ。このとき同組織に投げつけられていた悪罵の数々を簡単に要約すると、「自民党リベラルではない」から「『ヒップホップ』なんて口にするな!」というものだった。なぜならば「ヒップホップとは『つねに弱者の側に立つ』カウンターカルチャーだから」と……この経緯の一部は朝日新聞にも載った。7月の半ばごろの話だ。 と聞いて「えっ、ヒップホップってリベラルだったの?」と素朴な疑問を持ってしまったあなたは、正しい。ゆえにこの事件について、僕はここで腑分けを試みてみたい。その内側には、音楽文化への「日にしかない」とてつもない誤謬が含まれていると考えるからだ。 日語のインターネット空間は絶海の孤島か まずは

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    nstrkd 2017/09/22
  • 書誌情報の「脱アマゾン依存」を!

    去る8月25日、図書館蔵書検索サービス「カーリル」のブログに掲載された「サービスに関する重要なお知らせ」を読んで、驚いた人は多いと思う。この日のブログにこのような一節があったからだ。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に、Amazonのデータを主体としたサービスの提供を終了し、オープンな情報源に切り替える方針を決定しました。現在、新しい情報検索基盤の構築を進めておりますが、状況によっては一時的にサービスを中断する可能性

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    nstrkd 2017/09/02
  • 「言葉」と「現実」と「人間」の関係を結びなおすために〜「被災者の文学」という企投

    「被災者の文学」と仮に名づけた出版プロジェクトを動かしている。 言葉の通り、東日大震災に被災した当事者が書く文学である。それが狭義の文学として認められるのかどうかはわからないが、少なくともぼくはそれを「文学」として提示したい。 2017年4月23日まで、支援を募集している。理念に共感していただけたら、サポート、あるいは、参加していただけたらと思う。2017年中には、現地への「作品」を捜し求める旅に出て、2018年に、冊子を刊行することを予定している。冊子だけに限定せず、作り上げていくプロセス自体や、集まった作品を、WEBで公開したり、コミュニティのようなものを作ることも計画している。冊子を一つの物質的な成果の一部とするプロジェクトだと考えていただけたら良いのかもしれない。 なぜこのようなプロジェクトを動かそうと思ったのか。シノドスさんとキャンプファイアさんに力を貸していただいて、不慣れな

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    nstrkd 2017/04/07
  • 多和田葉子さんインタビュー〜ビルドゥングスロマンとしての〈ライター・イン・レジデンス〉

    近年、アートイベントが盛んだ。都会でも村落部でも、それこそ日中がアートで埋め尽くされてしまった感がある。それに伴い、イベントに招聘されたアーチストたちが現地で滞在しながら作品制作を行う「アーチスト・イン・レジデンスという制度の存在も、徐々に知れ渡ってきた。 このレジデンス制度だが、源流となったのは17世紀に始まったフランスの「ローマ賞」だと言われる。「ヴィラ・メディチ」と名を変えた同賞は、現在もつづいている(日からも詩人・翻訳家の関口涼子さんが2013年〜14年にかけて参加している)。 日のアーチスト・イン・レジデンスは「アートをつかったまちづくり」と呼応する形で広まってきた。そこで活躍するのは、いわゆるアートやパフォーマンスアートの作り手たちだ。 一方、欧州では参加アーチストのなかに小説家、詩人などいわゆる「物書き」とよばれる人たちの顔ぶれもある。日では文学とアートは棲み分けされ

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    nstrkd 2017/04/02
  • 「読む」「書く」「編む」の未来

    新年あけましておめでとうございます。おかげさまで「マガジン航」は今年で創刊から8年目を迎えます。の未来を模索するささやかなメディアをここまで長く続けられたのも、寄稿者および読者の皆様のおかげです。あらためてこの場を借りて御礼申し上げます。 * * * この年末年始に読んだで印象深かったのは、町会や『屋図鑑』などの仕事で知られる空犬太郎さんが、東京創元社の編集者として長く活躍された戸川安宣さんの個人史をオーラル・ヒストリーとして聞き取りまとめた『ぼくのミステリ・クロニクル』(国書刊行会刊)でした。1947年生まれの戸川さんが幼少時からの読書史を語った「読む」の章、1970年に東京創元社に入社して以後の編集者人生が語られる「編む」の章、そして吉祥寺にあったミステリ専門書店「TRICK + TRAP(トリック・トラップ)」に関わった日々を綴った「売る」の章、それぞれ読み応えがあり、思わず

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    nstrkd 2017/01/05
  • 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]

    はじめまして。コグチスミカです。普段は別名義で、小説家、ライターとしてほそぼそと活動しています。現在、1歳児の子育てに奔走中の主婦です。 今回、どうしてもこの件について書かずにはおれず、だれかに知ってほしくて筆を取りました。 この記事を読んだ友人知人は、私がだれだか気づくかも知れませんが、どうか言及しないでいただきたいのです。あなたたちに正体がバレることはなんの問題もなく、むしろ喜ばしくすらあるのですが、クライアントにバレたら失職するかもしれないのです! キュレーションサイト「炎上」を生き延びたライターとして 2016年11月末、DeNAの運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、炎上し、公開停止しました。例えば「胃痛 原因」などのキーワードで検索すると、Google検索で必ず上位に表示されていた大手のサイトでした。ですが、その記事の内容は、私たちのような単価の低いライターによって

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    nstrkd 2016/12/09
  • 第9回 電子化された書棚を訪ねて

    連載の折り返し地点をすぎ、「これから後半ですよ」ということを前回の話で宣言したわけだが、それから一度も更新しないままなんと半年もの時間が流れてしまった。読者の中には首を長くして、更新を待っていた方もいるのかもしれない。遅くなってしまい、当にすいませんでした。 ノンフィクション作家にとっての この連載以外の取材に取り組んでいたことも、更新が滞った一因である。では、いったい何をしていたのか。いまも続いているの増殖と絡めて、個々の仕事のことについて言及してみたい。 僕が追いかけているテーマのひとつに日の国境問題がある。を何冊か出したので、そろそろ次のテーマへ完全移行したいのだが、そうもいかない。尖閣諸島では付近の海に中国の公船が常駐するようになったし、竹島も韓国の閣僚が毎年夏に上陸するようになったりと、国境問題はここ数年で膠着し、日常化してしまったためだ。加えて昨年の尖閣国有化を巡る裏

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    nstrkd 2016/09/05
  • 第1回 モビリティの時代のメディアを探して

    この5月の大型連休に帰省し、地元のゆるキャラやB級グルメをことさらに宣伝するPR冊子を手にとっては捨て、いつものように普段の仕事がある都会に戻ってきた人も多いだろう。よくある行政発行のフリーペーパーを見ると、そこそこの予算や人員がかかっているのに(市民の税金で)、デザインも内容も、残念なものが多い。 地域創生、コミュニティの再生が叫ばれ、地方自治体はこぞって中心市街地活性化事業や、観光客誘致を展開している。だが、多くの場合、それらは地域の経済を活性・再生することに重点が置かれている。一時の“経済”が、“地域に根ざした文化”そのものよりも優先され、人を惹きつけるデザインや地元のとっておきのストーリーを紡ぐ文章よりも、いま、地元が一押しの商品・観光資源”を前面に押し出すことが重視されてしまう。 そこには、宣伝広告とメディアの区別がない。“どんなメッセージを、誰にどのように届けるか”という一連の

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    nstrkd 2016/05/25
  • こんまりの「片づけ」本は海外でなぜ売れた?

    真由美さま 前回のお手紙をいただいてから少し時間が経ってしまいました。 日ではの印税率が下がってきていて、とうとう「印税率3%でを書いてくれ」と言われたというビジネス書の著者さんの話をFacebookで見かけて背筋が凍りました。事態はここまで来てるんですね。 これが英語圏の出版社だと、新人でもハードカバー(ようするに「新刊書」)の印税が10%、増刷がかかって10万部を超えたあたりから数%割増しになるのが普通です。超売れっ子先生だと初版から12%、がバカ売れして増刷になり、「お札を刷っているような状態」になれば15%までハネ上がります。 印税率より大きな違いは、英語圏での出版物には通常「アドバンス」と呼ばれる印税の前払い金があることです。しかもその一部は、原稿を一文字も書いてなくても、出版契約を結んだ時点で支払われる。ようするに出版社にとってアドバンスというのは、著者に対し、この

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    nstrkd 2016/03/12
  • 北海道のシャッター通りに本屋をつくる

    「無書店自治体」での社会実験 そもそもの流れを時系列で説明すると、こんな具合だ。 1)北海道読書環境はかなり悲惨であり、あろうことか悪化が進んでいるので2008年に、図書関係者と教育関係者で読書環境の整備支援組織「北海道ブックシェアリング」を設立。筆者が代表となる(現在は一般社団法人北海道ブックシェアリング、荒井は代表理事)。 2 )設立から3年後に東日大震災が発生。宮城県教委の要請などもあり、宮城県石巻市に分室をつくり、宮城・岩手両県の図書施設の復旧・復興支援を実施。 3 )2015年秋に東北被災地での最後の事業「岩手県陸前高田市の新図書館に関する住民意識調査」を終え、2016年はいよいよ腰を入れて北海道読書環境の整備支援に着手することになった。(以降「~することになった」は「荒井が~すると決めた」と考えていただいて差し支えない) で、北海道で増加している「無書店自治体」について

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    nstrkd 2016/03/03