強烈の日射しの中、二宮から市川の実家に戻る。ニュースではしきりに帰省ラッシュの混雑を伝えていたが、実際には拍子抜けするほど空いていて、予想よりずっと早く到着してしまった。 以前、ガモフの啓蒙書に出ていた数学の試験にまつわるエピソードについて書いたが、二宮滞在中にそのガモフの本を見つけた。ジョージ・ガモフ・コレクション第3巻の「宇宙=1,2,3…無限大」である。件のエピソードは、そこに収録されたガモフの自伝「わが世界線」の中にあった。だいたい話の大筋は記憶の通りであったが、少し勘違いもあった。ガモフは1904年にウクライナのオデッサで生まれ、少年期をそこで過ごした。やがてロシア革命が勃発する。社会が混乱する中、食糧事情が悪化したオデッサの様子を伝えるエピソードとして、あの話が紹介されていたのだった。以下にその部分を抜粋する(表記などはすべて訳本のまま)。 ……次に述べるのは、当時オデッサ大学