キングは、この一件の際はあえて席を外していた。 相手は世界を支配する企業の一つ、ソルミナス・アームズテック社/だからと相手の要求を唯々諾々と従っていては示しがつかない。 いったん席を外して伝手を頼り、相手の試合スケジュールに対する迷惑な横やりをたしなめようと連絡を取っていた――のだが。 『ブルーローズ』との試合を前に、ミーティングルームで角突き合わせる三名のひとり、キングは大きなため息を吐いた。 「……まさか勝手に試合の権利を賭けた勝負を決めてるとは思わなかった」 「あー。わりぃ」 キングとしては、実に面倒な話――もしリザ=『スマートボア』が敗れれば、頭の中で組み立てていた劇的な試合展開を最初から組みなおす必要がある。 「いや。確かに注意はしていなかった」 ふー……と大きくため息を吐く。 『キングブッカー』との試合は、パイロットにとって垂涎の的だ。 社会の注目度は、中級ランカーとは思えない