26年前のジャンボ機墜落を経験した元日本航空社員が、福知山線脱線事故(2005年)で乗客106人の犠牲者を出したJR西日本の安全対策を担っている。同社安全研究所の研究主幹阿部啓二さん(58)。空の安全のために積み重ねてきた航空界の手法を、鉄道に生かそうと取り組んでいる。 阿部さんは05年から日航安全推進部で部長などを務めた。09年4月、JR西の安全研所長に請われ出向。昨年4月、日航の早期退職に応じ、転籍した。 墜落事故では、約1週間後に遺体が安置された群馬県藤岡市の体育館に派遣された。「遺族の悲しみ、ぶつけようのない痛みを肌で感じた。安全がかけがえないものだという思いを新たにした」と振り返る。 航空分野では、事故をヒューマンファクター(人的要因)の視点で考え、ミスを責めるのではなく、ミスの原因を探り再発防止策を講じる手法が根付いている。 鉄道では「へまをしたらその人を責めるのが、何