3年前の2005年1月。世界各国から著名な政治家や企業経営者、学者、ジャーナリストなどが一堂に会して開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議:スイス)で“事件”は起こった。 米マイクロソフトのビル・ゲイツやタンザニアの大統領などが出席し、貧困支援の財源について討議していた分科会で、聴衆の中にいた一人の女性が、突然、立ち上がって声を上げたのだ。 「私が1万ドル寄付します。これで、マラリア予防の蚊帳を買ってください。そして、寄付に賛同する方は立ち上がってください」。声の主は米国の有名女優、シャロン・ストーン。会場は一時騒然となったが、すぐに賛同する出席者が続出。わずか数分で100万ドルの寄付が集まった。この光景は、世界中のマスコミに取り上げられ、大きな反響を呼んだ。 シャロン・ストーンが購入を呼びかけた蚊帳。それを開発したのは、実は日本人と日本の会社である。住友化学の伊藤高明(5