アメリカが保守化に向かっている。民主党に任せてみたが、失敗だった。企業の国有化、医療制度の国営化など、社会主義化が進んでしまった。財政支出を増やしたから、巨大な累積赤字ができて、将来の大増税が避けられない。国力が低下する。子どもたちに「立派なアメリカ」を引き継げないのではないか――。 この政治不信を背景に、市民運動「ティーパーティー」が力を増している。「規制緩和や減税で、政府の規模・役割を小さくせよ」という保守化運動だ。一段と左寄りになった民主党へのアンチテーゼだが、共和党とも一線を画する。財政赤字を拡大したのはブッシュ政権=共和党も同じだ、共和党も民主党と大差なし、という考えだ。 共和党にとっては、保守化の流れはありがたい一方、ティーパーティーの主張はやや極端に映る。彼らと手を結べば、穏健・中道の無党派層を取り込めなくなる。11月初めの中間選挙を前に共和党は、影響力を強めるティーパー