タバコ値上げ、消費税率上げ…。重税感がずしりと高まっている今、“節税”をエサにした徴税マンの不正ほど腹立たしいものはない。「税金を払わなくていいようにしますよ。その代わり…」。相続税の未納分5000万円を免除する見返りに、不動産賃貸業者から1000万円のワイロを受け取っていた税務署職員。自ら計画を持ちかけては周到に工作し、まんまと大金を懐に入れていた。税をめぐる不公正感が社会の枠組みの破壊につながってきたことは歴史が示す通りだが、現代のモラル崩壊は徴税マンにも及んでいた。逮捕された税務署職員の“悪徳連金術”が物語る“この世の末”とは-。 ■手口は巧妙 「痕跡」消し去るも点検で発覚 7月2日朝。 厚木税務署上席国税徴収官の林英一容疑者(45)は出勤するや、懲戒免職の辞令を手渡された。 「申し訳ありませんでした」 事情を察し、こう言って署長に頭を下げた。そのまま身柄は横浜地検へ移され