そう。今から思えば・・・でありますが、幼少期自宅にあった「ピーターパンとウエンディ」。あれを8歳の時に読んでしまったのがわたくしの人生の転落のはじまりだったのであります。勿論唐突にこのような事を申し上げても、こ奴は一体全体何を云っているのか、と皆様に訝しまれるだけだというのはわたくしとしても百も承知で御座いますし、そもそもこの「文部省推薦」の御墨付きをいただいている世界的児童文学を読んでも明朗で健康な人生を送っておられる方達はそれこそ星の数、と聞いております。ですからわたくしが人道を踏み外したのは他ならぬわたくし自身のせいなのだ、とも思い、自分の生まれながらに背負った恥を、この、世界で一番美しい、とわたくし自身、初めて読んだ8歳の時より信じてやまない、最愛の物語に押し付けるという行為は、さらなる恥と罪悪感でもってわたくし自身を責め苛み、その羞恥ゆえにわたくしの心はより一層この物語に惹き付け