脳では神経細胞(ニューロン)が互いに電気信号をやり取りしており、個々の神経細胞の電位を観測し脳活動を調べることは、脳の仕組みを理解する重要な手段のひとつです。従来は、ネズミ等の実験動物の神経細胞に針やピペットを接触させて電位を計測していましたが、多数の細胞を同時に観測することが困難な上、脳に異物を挿入しダメージを与えてしまう問題がありました。これに対し、近年ではボルテージ・インジケータと呼ばれる蛍光物質を設計して、神経細胞の電位を光に変換して顕微鏡で撮影するボルテージ・イメージングと呼ばれる手法の開発が進んでいます[2]。 端的に言うと、活動している神経細胞は点滅しているように写ります。これにより、頭蓋骨に穴を開けるなど脳環境への影響は依然としてあるものの、観測対象となる細胞の周辺組織を傷つけない侵襲性の低い方法により複数の神経細胞の観測が可能となります。しかし、神経細胞のミリ秒単位の電位