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  • ノア・スミス「『絶望死』物語への批判」(2023年11月26日)

    数年前に,ノーベル賞経済学者のアンガス・ディートンがこう宣言しだした――現代経済学はなにもかも間違っている.ディートンの主張はようするにどんなものかっていうと,近年,アメリカで平均寿命が減ってきた理由は資主義経済システムでつくりだされた絶望にあるんだ,という話だ.このアイディアを展開したや数多くの論文を彼は発表している. 実は,かくいうぼくは「絶望死」説に好意的ではある.ただ,絶望よりもストレスの方が問題なんじゃないかと思ってる――たとえば過や薬物・アルコールの濫用みたいな行動は,〔苦しみへの〕対処機構みたいなもので,中毒になったり長期的な健康を害したりしてしまうことがあるんだろう.ただ,これはたんなる推量でしかない.実のところ,平均寿命が短くなっているのを示すだけでは,ディートンが資主義に関して提示した壮大な説はちっとも証明されない. 骨子を言えば,ディートンが言っている説はこん

    ノア・スミス「『絶望死』物語への批判」(2023年11月26日)
  • ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)

    通説では,1990年にかの不動産バブルがはじけてから日は「失われた○十年」に苦しんできたという話になっている.実のところ,一人あたり GDP を見ると,他の豊かな国々にくらべて日の実績が見劣りしはじめた起点は1990年ではなく1997年に思える.97年といえば,アジア金融危機のあった頃だ. この「失われた○十年」論に対して典型的に向けられる反論では,こう語られる――日が停滞しているように見えるのは,大半が人口の高齢化によるものであって,実際の生産性で見ると日は2000年頃から問題なくやっている.新しく出た Fernandez-Villaverde, Ventura, & Yao の論文は,こう主張している: 多くの先進諸国では,この数十年で,高齢化にともなって,一人あたり GDP成長と労働年齢の成人一人あたり GDP 成長のちがいは大きくなってきている.日のように一人あたり GD

    ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)
  • タイラー・コーエン「ヘルト・ウィルダースの勝利その他もろもろ」(2023年11月23日)

    オランダの総選挙でヘルト・ウィルダースが圧勝した.世論調査でも,10月7日時点よりいっそう支持を集めている.昨日はダブリンで――比較的に〔移民に〕開放的な都市で――反移民の暴動があった(アルジェリア系移民が数人を刺したと見られている).オーストリアの「極右」政党はすごく人気を集めているし,ドイツでは「ドイツのための選択肢」党 (AfD) が堅調で,フランスでも状況が入れ替わってもおかしくない.イタリアはすでにそうなっていて,実際の統治はメロニ首相の下でもそんなに大きく違っていない.スウェーデン民主党は連立与党の一角を占めている.いま挙げた国々は EU グループの中核の多くを占めているし,そこにアイルランドとスウェーデンも加わる.もしかすると,名前を挙げ忘れた人物もいるかもしれない. メディアへの一言:こうした人たち〔反移民・右派系ポピュリスト〕が選挙で勝利し続けているか,少なくともかなりの

    タイラー・コーエン「ヘルト・ウィルダースの勝利その他もろもろ」(2023年11月23日)
  • ノア・スミス「アメリカは台湾有事の備えができてない」(2023年10月15日)|経済学101

    Photo by Breno Machado on Unsplash台湾をめぐる戦争の可能性は現実味を帯びている.そして,アメリカは備えができていない.「このあたりは,子供時代に見知っていたイングランドのまんまだった:線路沿いの野の花,赤いバス,青い警官たち――イングランドのなにもかもが,深い眠りにおちている.ときどき,不安を覚える――いつかこの眠りから私を覚ますものは,炸裂する爆弾の轟音なのではあるまいか.」――ジョージ・オーウェル,1938年 まるで,長い封印がすっかり解かれたかのようだ.2022年には,核兵器を持つ大国が隣国に侵攻して征服を試みる事態をぼくらは目の当たりにした.いまや,イランがイスラエルとの戦争に突入する脅しをかけている.アメリカは,その事態を抑止するために空母打撃群を同地域に派遣している.一方,アゼルバイジャンはアルメニアに侵攻する準備を整えつつあるおそれがあるし,

    ノア・スミス「アメリカは台湾有事の備えができてない」(2023年10月15日)|経済学101
  • ノア・スミス「緊縮の時代が到来しそう」(2023年9月18日)|経済学101

    Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplashもう2010年代じゃない子供の頃に見た1992年大統領選挙のことは,いまでも覚えてる――まともに物心ついてて意識したはじめての選挙が,あれだった.最大の争点は連邦政府の財政赤字だった.18年にわたって長らく政府の借り入れが続いたあと,ビル・クリントンと独立系候補のロス・ペローは,財政緊縮を要求していた.現職候補だった H.W.ブッシュは,民主党を増税して支出する党だと弱々しく言ったけれど,彼の抗議は少しばかり空疎に響いた.なにしろ,12年にわたって増税しなくても支出はしていたからだ(ブッシュは増税を試みたけれど,党内からの反逆にあった).結局,勝利したのはクリントンで,1993年に緊縮財政を敷いて増税と政府支出の削減を実行した.それから10年たったとき,連邦政府の予算は黒字になっていた.国民と全米ニュースの大半は,

    ノア・スミス「緊縮の時代が到来しそう」(2023年9月18日)|経済学101
  • ノア・スミス「働く女性たちの物語にノーベル経済学賞」(2023年10月12日)

    クラウディア・ゴールディンはいかにしていろんな糸をひとつに紡ぎ合わせたか By Editing1088 – Own work, CC BY-SA 4.0 2023年のノーベル経済学賞は,クラウディア・ゴールディンにおくられた.労働市場で女性に生じた変化に関する研究が受賞理由だ.彼女が受賞してすごくびっくり,ということはない.経済学者たちのあいだでは,ゴールディンは実証経済学で進んだ「信頼性革命」(“credibility revolution”) の主要な先駆者の一人と広く認められているからだ. ノーベル経済学賞(お好みなら「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」と呼んでもいい)についてぜひ理解しておいた方がいいのは,これが典型的に研究手法の賞だってことだ.化学や医学みたいに特定の発見を称えるのではなく,ノーベル経済学賞では,いろんな発見をするための新しい方法を開発した研

    ノア・スミス「働く女性たちの物語にノーベル経済学賞」(2023年10月12日)
  • ノア・スミス「西洋の左翼は混乱してる」(2023年10月10日)

    Photo by Stuart Meissner 無辜の市民の虐殺をうれしげに支持するのは,残忍としか言えない じきに経済ネタのブログ活動に戻るよ.約束する.そのときは,まずクラウディア・ゴールディンのノーベル経済学賞から取り上げよう〔追記:こちら〕.ただ,まずは,イスラエル-ハマス戦争についてもうひとつ,書いておかないといけないことがある. 冒頭の画像は,アメリカ民主社会主義党のニューヨーク市支部がパレスチナの大義を支持して行った集会の様子だ.この集会が行われたのは10月8日,1,000人以上のハマスの武装集団がイスラエルを攻撃した翌日のことだ.これだけじゃなく,全米各地のアメリカ民主社会主義党の支部も同様の集会を開いたし,あちこちの大学のキャンパスでも集会は開かれた.報道によると,写真に写ってる女性は,イスラエル支持の反・抗議派の人たちに鉤十字を見せつけたそうだ. まだこの件をあまり読

    ノア・スミス「西洋の左翼は混乱してる」(2023年10月10日)
  • ノア・スミス「働く女性たちの物語にノーベル経済学賞」(2023年10月12日)|経済学101

    クラウディア・ゴールディンはいかにしていろんな糸をひとつに紡ぎ合わせたかBy Editing1088 - Own work, CC BY-SA 4.02023年のノーベル経済学賞は,クラウディア・ゴールディンにおくられた.労働市場で女性に生じた変化に関する研究が受賞理由だ.彼女が受賞してすごくびっくり,ということはない.経済学者たちのあいだでは,ゴールディンは実証経済学で進んだ「信頼性革命」(“credibility revolution”) の主要な先駆者の一人と広く認められているからだ. ノーベル経済学賞(お好みなら「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」と呼んでもいい)についてぜひ理解しておいた方がいいのは,これが典型的に研究手法の賞だってことだ.化学や医学みたいに特定の発見を称えるのではなく,ノーベル経済学賞では,いろんな発見をするための新しい方法を開発した研究者

    ノア・スミス「働く女性たちの物語にノーベル経済学賞」(2023年10月12日)|経済学101
  • ノア・スミス「《アメリカによる平和》のあとにやってくるのはうれしくない時代かも」(2023年10月9日)

    ジャングルへようこそ 「私は正しいかもしれないし,間違っているかもしれない / ただ,私がいなくなったらきっとあなたはさみしがるね」――タジ・マハール みんなが聞き及んでいるとおり,昨日,ハマスがイスラエルに大規模な奇襲を仕掛けた.ハマスはガザ国境を越え.大規模なロケット爆撃につづけて近隣の街々を占拠または襲撃して,何百人も殺した.ハマスの兵士たちがイスラエル人捕虜をガザに連れて行ってる光景は,インターネットのあちらこちらで拡散されてる.これに対して,イスラエルは交戦状態を宣言した.両者による戦闘は,このところの記憶にないほど凄惨で獰猛なものになるにちがいない. すでに多くの人たちが指摘しているように,アメリカが助力していたイスラエルとサウジアラビアの和平合意が実現する可能性をつぶすのが,今回の攻撃のねらいと目される.こういう和平合意は,トランプのもとで開始された「アブラハム協定」プロセス

    ノア・スミス「《アメリカによる平和》のあとにやってくるのはうれしくない時代かも」(2023年10月9日)
  • ノア・スミス「西洋の左翼は混乱してる」(2023年10月10日)|経済学101

    Photo by Stuart Meissner無辜の市民の虐殺をうれしげに支持するのは,残忍としか言えないじきに経済ネタのブログ活動に戻るよ.約束する.そのときは,まずクラウディア・ゴールディンのノーベル経済学賞から取り上げよう〔追記:こちら〕.ただ,まずは,イスラエル-ハマス戦争についてもうひとつ,書いておかないといけないことがある. 冒頭の画像は,アメリカ民主社会主義党のニューヨーク市支部がパレスチナの大義を支持して行った集会の様子だ.この集会が行われたのは10月8日,1,000人以上のハマスの武装集団がイスラエルを攻撃した翌日のことだ.これだけじゃなく,全米各地のアメリカ民主社会主義党の支部も同様の集会を開いたし,あちこちの大学のキャンパスでも集会は開かれた.報道によると,写真に写ってる女性は,イスラエル支持の反・抗議派の人たちに鉤十字を見せつけたそうだ. まだこの件をあまり読んで

    ノア・スミス「西洋の左翼は混乱してる」(2023年10月10日)|経済学101
  • ノア・スミス「《アメリカによる平和》のあとにやってくるのはうれしくない時代かも」(2023年10月9日)|経済学101

    ジャングルへようこそ「私は正しいかもしれないし,間違っているかもしれない / ただ,私がいなくなったらきっとあなたはさみしがるね」――タジ・マハール みんなが聞き及んでいるとおり,昨日,ハマスがイスラエルに大規模な奇襲を仕掛けた.ハマスはガザ国境を越え.大規模なロケット爆撃につづけて近隣の街々を占拠または襲撃して,何百人も殺した.ハマスの兵士たちがイスラエル人捕虜をガザに連れて行ってる光景は,インターネットのあちらこちらで拡散されてる.これに対して,イスラエルは交戦状態を宣言した.両者による戦闘は,このところの記憶にないほど凄惨で獰猛なものになるにちがいない. すでに多くの人たちが指摘しているように,アメリカが助力していたイスラエルとサウジアラビアの和平合意が実現する可能性をつぶすのが,今回の攻撃のねらいと目される.こういう和平合意は,トランプのもとで開始された「アブラハム協定」プロセスを

    ノア・スミス「《アメリカによる平和》のあとにやってくるのはうれしくない時代かも」(2023年10月9日)|経済学101
  • ノア・スミス「凡人の逆襲?――AIは格差縮小に作用するのかも」(2023年9月4日)

    テクノロジーと格差についての楽観論 かつて Twitter と呼ばれてたアプリでは,ノア・スミスといえば,「ふつう・平均・中流」のよさについて前のめりにたびたび語る人間でとおってる.なんでそんなにふつうのよさを語るかっていうと,ひとつには,とびきりすごい人間じゃなくてもよい生活・快適な生活・充実した生活をみんながおくれる平等主義的な社会の他にうまくいってる社会なんてないと思ってるからだ.ただ,理由はそれだけじゃなくって,大人になっていくときにさんざん浴びせかけられたメッセージへの反発って側面もある.どの映画を見ても,どのを読んでも,どのテレビ番組を見ても,ぼくみたいなガリ勉オタク(ナード)は特別だって語りかけてるように思えた――物理学ができたりコンピュータでプログラムを組めたり,なんならテレビゲームをやれるだけでも,例外的な人間になる定めにあるとでも言わんばかりだった.80年代後半や90

    ノア・スミス「凡人の逆襲?――AIは格差縮小に作用するのかも」(2023年9月4日)
  • ノア・スミス「バズりグラフにだまされない方法」(2023年9月13日)

    前編: 誤情報・まちがい・無意味データを見つける方法 「どんな宣伝屋でも煽動者でも,その仕事をこなすには,これという聴衆に影響を及ぼす最良の手段を見つけ出さねばならない.このうえなく頭に入りやすく,見てわかりやすく,きわめて強烈な印象を残し,このうえない説得力をもって,確たる真実を提示する最良の手段を見つけなければ宣伝も扇動もできない.」 ――レーニン 2020年の終わり頃にこのブログを書き始めたとき,「こんな記事を書こう」というアイディアをあれこれと用意していた.そのひとつは,「バズりグラフにだまされない方法」という記事だ.有名なグラフをいろいろと準備万端にリストにまとめてあった.でも,ちょっとワケあって,その記事は後回しにした.それからの年月で,ネタになるグラフのリストは増える一方で,記事にとりかかるのをぼくはずっと後回しにしてた. でも,後回しはもう終わりだ.バズりグラフにいよいよ我

    ノア・スミス「バズりグラフにだまされない方法」(2023年9月13日)
  • ノア・スミス「BRICSなんてないさBRICSなんてウソさ」(2023年8月27日)

    “Meet the Potters” by Spielbrick Films is licensed under CC BY 2.0. 反 NATO じゃないし,ドルにとってかわりそうにもないし,世界の経済成長を左右することもなさそう 中国で景気低迷がはじまっていて,これは長引きそうだ.それでも,西洋の報道では,中国が自分の支配下にある新しい国際機関をつうじて世界への影響力を強化しようと試みているという警告が伝えられてる――影響力どころか,「世界支配だってなきにしもあらず」みたいな調子だ.『フィナンシャル・タイムズ』の James Kynge はこう書いてる: 中国が描く青写真でかなめとなっているのは,発展途上国に対するみずからの指導力をゆるぎなく制度化することだ.その手段は,中国主導のさまざまな諸国家グループを形成し,拡張し,そこに資金提供することだ.(…)この戦略の目的は,大きく分けて

    ノア・スミス「BRICSなんてないさBRICSなんてウソさ」(2023年8月27日)
  • ノア・スミス「今週の小ネタ: ゼロサム思考が強まってるかもという研究をどう評価するか」(2023年10月1日)|経済学101

    ゼロサム思考についての強い主張Sahil Chinoy, Nathan Nunn, Sandra Sequeira & Stefanie Stantcheva が,すごく興味深い論文を出した.もしかすると,重大な論文かもしれない.主題は,アメリカにおけるゼロサム思考の隆盛だ. ぼくも含めて,経済成長志向の人たちの多くは,こう考えてる――経済成長のいいところのひとつは,みんながパイの切り分け方をめぐって争うのではなくパイを大きくすることを考えるようにうながす点にある.産業革命で経済は基的に成長するものになったけれど,それ以前は征服戦争や地域紛争をたくさんやってた.これはそれなりにわかる話だ.だって,かりにキミが1200年に暮らしてたとしたら,豊かになるには隣人の土地を奪うのがなによりの方法だ.1900年には事情が変わっていて,豊かになろうというなら,商売を始めるのがなによりの方法だった.も

    ノア・スミス「今週の小ネタ: ゼロサム思考が強まってるかもという研究をどう評価するか」(2023年10月1日)|経済学101
  • ノア・スミス「今週の小ネタ: 教育格差と健康格差」(2023年10月1日)|経済学101

    アメリカでは,教育がある人たちの方がずっと健康的さて,さっきの話は,アメリカにおける格差に関するいいニュースだった.悪いニュースもある:アメリカ人のあいだでは,教育水準によって健康格差がますます開いてきてる.上に載せたグラフを見てもらうと,大卒でないアメリカ人の平均寿命が大きく下がってきてるのがわかる.このグラフは,経済学者のアン・ケイスとアンガス・ディートンによる Brookings 論文から引用した.彼らによれば,教育格差によって健康や社会生活に関わるいろんな結果に大きな差が開いている――心の苦しみから対人関係の困難まで,実に幅広い項目で,教育水準による格差が開いてる: 婚姻率,身体的・精神的な苦しみ,対人関係の困難(Source: Case & Deaton (2023))Kevin Drum の指摘によると,こうして開いてきてる格差は,大半が白人アメリカ人のあいだの格差だ. さて,

    ノア・スミス「今週の小ネタ: 教育格差と健康格差」(2023年10月1日)|経済学101
  • ノア・スミス「今週の小ネタ: 労働者階級の財産は改善しつつある」(2023年10月1日)|経済学101

    2010年代に多くのアメリカ人が学んで当たり前の事実みたいに扱われ出したのに,それほど正しくもないと判明してしまったことはあれやこれやある.そのひとつは,「労働者階級の豊かさは,無残なまでに後れをとっている」という考えだ.みんながこの「事実」を「学んで」しまった理由はなんだろうと考えると,2008年の金融危機まではこれが事実だったものの,みんなはそのことに気づかないままで,危機後にやっと気づいて憤慨しだしたってことがありそうだ. ともあれ,FRB の "Distributional Financial Accounts" データをまだ見てない人は,ぜひとも見ておいた方がいい.これを利用すると,財産の構成要素を――不動産・株式・消費者負債などなどを――パーセンタイルにわけてグラフにできる.さらに,いろんな人口統計の項目にわけることもできる.ただ,惜しいことに,インフレ調整してグラフにする選択

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  • ノア・スミス「バズりグラフにだまされない方法」(2023年9月13日)|経済学101

    第1部: 誤情報・まちがい・無意味データを見つける方法「どんな宣伝屋でも煽動者でも,その仕事をこなすには,これという聴衆に影響を及ぼす最良の手段を見つけ出さねばならない.このうえなく頭に入りやすく,見てわかりやすく,きわめて強烈な印象を残し,このうえない説得力をもって,確たる真実を提示する最良の手段を見つけなければ宣伝も扇動もできない.」 ――レーニン 2020年の終わり頃にこのブログを書き始めたとき,「こんな記事を書こう」というアイディアをあれこれと用意していた.そのひとつは,「バズりグラフにだまされない方法」という記事だ.有名なグラフをいろいろと準備万端にリストにまとめてあった.でも,ちょっとワケあって,その記事は後回しにした.それからの年月で,ネタになるグラフのリストは増える一方で,記事にとりかかるのをぼくはずっと後回しにしてた. でも,後回しはもう終わりだ.バズりグラフにいよいよ我

    ノア・スミス「バズりグラフにだまされない方法」(2023年9月13日)|経済学101
  • ノア・スミス「凡人の逆襲?――AIは格差縮小に作用するのかも」(2023年9月4日)|経済学101

    テクノロジーと格差についての楽観論かつて Twitter と呼ばれてたアプリでは,ノア・スミスといえば,「ふつう・平均・中流」のよさについて前のめりにたびたび語る人間でとおってる.なんでそんなにふつうのよさを語るかっていうと,ひとつには,とびきりすごい人間じゃなくてもよい生活・快適な生活・充実した生活をみんながおくれる平等主義的な社会の他にうまくいってる社会なんてないと思ってるからだ.ただ,理由はそれだけじゃなくって,大人になっていくときにさんざん浴びせかけられたメッセージへの反発って側面もある.どの映画を見ても,どのを読んでも,どのテレビ番組を見ても,ぼくみたいなガリ勉オタク(ナード)は特別だって語りかけてるように思えた――物理学ができたりコンピュータでプログラムを組めたり,なんならテレビゲームをやれるだけでも,例外的な人間になる定めにあるとでも言わんばかりだった.80年代後半や90年

    ノア・スミス「凡人の逆襲?――AIは格差縮小に作用するのかも」(2023年9月4日)|経済学101
  • ノア・スミス「BRICSなんてないさBRICSなんてウソさ」(2023年8月27日)|経済学101

    "Meet the Potters" by Spielbrick Films is licensed under CC BY 2.0.反 NATO じゃないし,ドルにとってかわりそうにもないし,世界の経済成長を左右することもなさそう中国で景気低迷がはじまっていて,これは長引きそうだ.それでも,西洋の報道では,中国が自分の支配下にある新しい国際機関をつうじて世界への影響力を強化しようと試みているという警告が伝えられてる――影響力どころか,「世界支配だってなきにしもあらず」みたいな調子だ.『フィナンシャル・タイムズ』の James Kynge はこう書いてる: 中国が描く青写真でかなめとなっているのは,発展途上国に対するみずからの指導力をゆるぎなく制度化することだ.その手段は,中国主導のさまざまな諸国家グループを形成し,拡張し,そこに資金提供することだ.(…)この戦略の目的は,大きく分けて2つ

    ノア・スミス「BRICSなんてないさBRICSなんてウソさ」(2023年8月27日)|経済学101