国の豊かさを測る指標の一つにGDP(国内総生産)があるが、よく知られているように日本はGDPランキングで既に中国に抜かれて第3位になっており、一人当たりGDPもトップクラスではなくなってしまっている。 一方、GDPのようなフローの指標に対し、昨年国連が発表した「包括的富」というストックの指標で見ると、日本は総額で米国に次いで2位、一人当たりは世界一となっている。 以下では、GDPの動向を見たうえで「包括的富」の指標を紹介し、日本の強みと課題を考えてみることにする。 GDPの地位は総額でも一人当たりでも低下傾向 まずは、IMF(国際通貨基金)の“World Economic Outlook Database April 2013”(以下“WEO”)を用いてGDPの国際比較データを確認しておく。GDPの国際比較にあたっては、名目為替レートでドル換算する場合と購買力平価(PPP)で換算する場合と