前回私は、ヒーローものを扱うと言いつつ、まず期待されるであろうマーベルやDC映画ではなく、『トップガン マーヴェリック』と『オビ゠ワン・ケノービ』から話を始めた。もちろん今後、アメコミ系の作品を否応なく論じることにはなるだろう。だが、あえてそこから始めなかったのは、ある意図があってのことだった。 それは、本連載はマーベル論、DC映画論としてだけ書くのではなく、より広く「ヒーロー」というモチーフから現代社会を考えていきたいという意図だ。 そのために、今回はまず物語は「型」と「技」という二つの要素をつねに持っているということを確認したい。 「型」と「技」 「型」とは、あるモチーフには時代や文化をある程度横断したパターンが存在するということだ。個々の作品は、そのような型の中で、場合によってはその型と格闘しながら物語をつむぐ。いわばその個々の努力、個々の作品の実現が「技」なのである。 ヒーロー(英