まず、肩の力を抜いた軽快な文体が魅力的。そのスタンスは、ビジネス書や自己啓発書にありがちな「媚びるような、あるいは自己陶酔するような」姿勢とは対極にあるといえます。 何の話かといえば、マッキンゼーのコンサルタントを経て、インターネット・ビジネスの先駆者的存在であるDeNAを成功に導いた著者による『不格好経営 ──チームDeNAの挑戦』(南場智子著、日本経済新聞出版社)のこと。 カテゴリー分けするならビジネス書になるのでしょうが、それ以前に著者の、そしてDeNAの物語として楽しむことができます。そして成功談も失敗談もユーモラスに描かれているため、ひとつひとつのエピソードから、まるでその場にいるかのような説得力を感じるのです。 朝4時ごろ、シャワーでも浴びて出直そうと私はいったん自宅に戻ることにした。旦那がいつも通り凄まじい寝相ですやすや寝ていた。その横で「システム詐欺にあった」とつぶやいた。