足下から伝わってくる振動は、船底の外壁部分を破壊しようとしているものだっだ。そこに穴を空けてしまえば、飛翔石のあるところまではすぐだ。 「しかし、閣下。ここをこれ以上減らしたら、もうさすがに持ちません」 「だったら、全員で船底に行くんだ。ここで耐えていても、飛翔石を奪われたら元も子もない。それに、艇の中のほうが――」 フェリクスは、こころの中で自身の頭を殴りつけた。 ――そうだ、初めからそうすればよかったのだ。 甲板の上では、空を飛べる相手にいいようにやられてしまう。 しかし、艇の中に入ってしまえば通路が狭いので、数の多寡があまり関係なくなるうえに、相手は翼が使えない。こちらとしては、これ以上ない形に持ち込めるはずだった。 ――もっと早くにそのことに気づくべきだった。そうしておけば、いたずらに兵の命を犠牲にせずともよかったものを…… しかし、今は後悔している|暇(いとま)さえない。フェリク