風が冷たかった。 日陰をずっと歩いてきたせいか、まだ真昼といってもいい時間だというのに体は冷えきってしまった。 それも仕方がない。自分はどうやら、人間の町では表に出てはいけない存在のようだった。 どうして、という思いはある。 なぜ翼人であるというだけで、蔑まれ、疎まれ、排除されなければならないのか。 軽蔑の目、奇異の視線、嫌忌の情のほうが、よっぽどかこの冷たい風よりもつらい。 しかし自分は生きつづけようと思う。 母の遺言を守るために。 自分自身、|まだ生きたい|(、、)という思いがあった。 されど、体力は限界に近かった。気がつけば、もうかれこれ三日も何も食べていない。 人間の町は寒かった。ここへ安易に入るべきではなかった、町の外にある森に留まっていたほうがよかったと後悔ばかりが先に立つものの、あの森はいかんせん食べ物が少なすぎて、子供である自分の分さえも確保するのが難しかった。 人間も森か