大人のためのSF大河 冒険小説の人気作家、福井晴敏さん(38)が、伝説のアニメの世界に挑戦した『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』(角川書店、既刊1、2巻)の刊行が始まった。初代ガンダムに影響を受けた作家は、広大な宇宙に、燃え上がる物語を紡ぎ出す。(佐藤憲一) 1979年からテレビ放映された「機動戦士ガンダム」は地球連邦と宇宙の植民都市ジオン公国の戦争を描くアニメ。当時の小中学生に絶大な人気を呼び、福井さんも「監督の富野由悠季(よしゆき)さんの人間観やドラマの転がし方が自分の血肉になった」というほど夢中になった。 そのルーツに小説の形で挑むのは、30代、40代男性の本離れへの危機感からだ。「かつての30、40代はノベルズなどを愛読し、出版市場を支えていた。その熱気を、おれたちの世代に思い入れの深いガンダムの力を借りて取り戻したい」。初代ガンダムの作り手の一人、安彦良和さんが挿絵を担当する